BASFのElastollan® TPUがダイヤモンドワイヤー技術に貢献
この資料はBASFが2021年10月08日に発表した英語のプレスリリースをBASF ジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。
- Elastollan® によりワイヤーを保護、磨耗や摩擦熱への耐久性がさらに向上
- 柔軟性と剛性のバランスに優れたElastollan® は、ダイヤモンドの砥粒をセグメントに固着させ、ワイヤー上にも均等に配置可能
BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)の熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)Elastollan®(エラストラン®)は、花崗岩や大理石のような硬質材料を切断するダイヤモンドワイヤー技術において、より耐久性のある保護材として使用されるようになりました。柔軟性と剛性のバランスに優れたエラストラン®は、過酷な切断に耐えるダイヤモンドの砥粒をセグメントに固着させ、あるいは芯線上に整列させることが可能です。
さらにダイヤモンドワイヤーを保護することで長寿命となり、より持続可能な選択肢を提供します。
「高い表面仕上げと高精度な技術を提供できるため、ダイヤモンドワイヤー技術の需要が高まっています。硬質材料を正確かつ効率的に切断するにはソーイングワイヤーの速度が鍵となり、ワイヤーとワイヤースプリングの保護が重要です。従来の素材とは異なり、エラストラン®は高速切削加工で発生する高熱に対して、より耐久性のある保護層になります。また、エラストラン®は射出成形が可能なため、芯線表面やセグメント内径との隙間を埋めて固定するのに特に効果的です。さらに特殊なグレードでは、機械的耐性と加水分解耐性のバランスに優れ、ウォータージェットを使用した摩擦熱の低減や、切断屑を洗い流す際にも有益です」とBASFのチャネル・パートナーである切削工具企業Vimal Intertrade Pvt. Ltd.(本社:インド ムンバイ)のセールスマネージャー、Nirav Shah (ニラヴ・シャー)氏は述べています。
ダイヤモンドワイヤー技術は、騒音を最小限に抑えながら、高速かつ高張力で動作し、硬質素材を正確に切断します。保護材でワイヤーをカバーすることで、摩耗や熱による消耗から守り、あわせてセグメントをしっかりと固定します。
「世界のダイヤモンド工具産業は、ニッチながらも成長を続けている業界です。硬質材料を無駄なく、最大限の歩留まりで切断できる精密技術によって、建築や太陽電池、半導体などの分野で需要が拡大しています。エラストラン®による保護がダイヤモンドワイヤー技術を発展させ、再生可能エネルギーである太陽電池産業のようなダイナミックな産業の持続的な成長にも貢献できることを嬉しく思います」と、BASFパフォーマンスマテリアルズ事業本部 アジア地域統括本部 インダストリー部門、バイスプレジデントのマリリン・ライは述べています。
エラストラン® は、すでにエレベーターのワイヤーや電気自動車の充電ケーブルといったワイヤーへの負荷が大きい用途でも使用されています。耐摩耗性、機械的強度と柔軟性に優れ、さらに卓越した耐薬品性を備えているエラストラン®は、充電ケーブルの寿命を延ばし、電気自動車への安全で安定した電力供給を可能にします。
ダイヤモンドワイヤーの世界市場は、2020年には13億米ドルとなり、2021年から2026年の間に40.0%の年平均成長率で成長し、2026年末には140億米ドルに達すると予測されています*。
このダイヤモンドワイヤーによる切断技術は、太陽電池産業や半導体産業でも求められています。太陽電池業界では、切断時間を最大50%短縮し、製造コストを削減することができます。また、半導体業界では、従来の方法に比べ、より正確に切断できるため、ウェハーの薄型化が可能になります。
ダイヤモンドワイヤー技術には、必要とされる切断作業に応じて、シングルワイヤーとマルチワイヤーがあります。マルチワイヤーを搭載したマシンでは、1回の稼働で最大90セットのワイヤーを使用することができます。
*出展:MarketWatch Diamond Wire Market Size in 2021 (英語)
※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。
■BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業部について
BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業本部は、材料のノウハウを一つに融合し、革新的でカスタマイズされたプラスチック関連製品とサービスを提供します。本事業部はトランスポーテーション、建築・建設、インダストリアルアプリケーション、消費財という4つの主要産業部門で世界的に事業を展開しており、強力な製品・サービスポートフォリオを備え、アプリケーション志向のシステムソリューションを深く理解しています。収益性と成長を促進させている主な要素は、お客様との緊密な連携と、明確なソリューション重視の姿勢です。研究開発の点でも高い能力を有しており、それが革新的な製品やアプリケーションを開発する基盤となっています。2020年、パフォーマンスマテリアルズ事業本部は、56.3億ユーロを達成しました。詳細に関しては、www.plastics.basf.comをご覧ください。
■BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の 3 つを同時に果たしています。また、全世界で110,000 人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2020 年の BASF の売上高は590 億ユーロでした。BASF 株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、http://www.basf.comをご覧ください。