2015年3月3日

BASF、2014年(1月~12月)の業績を発表 第4四半期、通年で増益

(本資料は 2015 年2月27日にBASF本社(ドイツ)で発表されたプレスリリースの和訳です。)

  • 2014 年第 4 四半期
    • 売上高は 180 億ユーロ(前年同期比 0.6% 減)
    • 特別項目控除前 EBIT は 15 億ユーロ(前年同期比 2.8% 増)
    • 化学品部門と農業関連製品部門で大幅増益、石油・ガス部門は原油安の影響で大幅減益
  • 2014 年通年
    • 売上高は 743 億ユーロ(前年比 0.5% 増、日本円換算 約 10 兆 4,300 億円)
    • 特別項目控除前 EBIT は 74 億ユーロ(前年比 4.0% 増、日本円換算 約 1 兆 388 億円)
    • 1 株あたり利益: 5.61 ユーロ(前年比 7.5% 増)
    • 配当金の提案: 2.80 ユーロ(前年は 2.70 ユーロ)
  • 2015 年の見通し:売上高の小幅増が予想され、特別項目控除前 EBIT は 2014 年と同水準の見込み

注記: 2014 年売上高 1 ユーロ= 140.38 円 (期中平均レート)で換算

BASF (本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)はこのほど、 2014 年の業績を発表しました。ルートヴィッヒスハーフェンで開催された年次記者会見にて、 BASF 取締役会会長 Dr. クルト・ボックは、「当社は 2014 年の目標を達成し、増益を果たしました。欧州の経済成長は期待はずれに終わったにもかかわらず、当社は利益成長を続けています。化学品事業を一層強化し、それによって利益率を改善させました。また、徹底したコスト管理も実践しています。当社の際立った業績は、 BASF チームが一丸となって取り組んだ成果です」と述べています。

2014 年第 4 四半期の BASF グループ全体の売上高は 180 億ユーロで、前年同期の水準とほぼ同じでした( 2013 年第 4 四半期: 181 億ユーロ)。販売量は前年同期より 1% 増加しました。

触媒事業本部は、農業関連製品部門、石油・ガス部門とともに、第 4 四半期の増収に貢献しました。為替でプラス効果(プラス 2% )が発生しましたが、主に原油価格に起因する販売価格の低下(マイナス 4% )を補うことはできませんでした。特別項目控除前 EBIT は、前年同期比 4,000 万ユーロ増の 15 億ユーロとなりました( 2013 年第 4 四半期: 14 億ユーロ)。特別項目控除前 EBIT は化学品部門と農業関連製品部門で前年同期を大きく上回りました。

2014 年通年の売上高は前年とほぼ同水準で 743 億ユーロとなりました( 2013 年: 740 億ユーロ)。販売量はすべての部門で増加し、全体では前年比 4% 増となりました。販売価格は前年比 3% 低下しましたが、これは主に原油価格と天然ガス価格が大幅に低下したことによるものです。為替のマイナス効果によって、ほぼすべての部門で売上高が下押される結果になりました。

2014 年通年の特別項目控除前 EBIT は前年比 2 億 8,000 万ユーロ増加し、 74 億ユーロとなりました。これは主として、化学品部門、高性能製品部門、機能性材料部門からなる化学品事業が大きく貢献したためです。 EBIT は前年の水準を 4 億 6,600 万ユーロ上回る 76 億ユーロとなりました。純利益は前年の 48 億ユーロから 52 億ユーロに増加しました。 1 株あたり利益は、前年の 5.22 ユーロから 5.61 ユーロに増加しました。調整後 1 株あたり利益は 5.44 ユーロで、前年の 5.31 ユーロを上回りました。

「当社の配当方針に従って、 1 株あたり配当を 2.80 ユーロに引き上げる提案を年次株主総会で行う予定です」とボックは述べています。この配当提案は前年を 3.7% 上回るものです。 2014 年末の株価をベースに算出したところ、 BASF 株は 4.0% という高い配当利回りを実現しています。


2015 年の見通し

「 2015 事業年度の見通しは極めて不透明です。原油や原材料の価格は為替と同様に不安定です。新興国の成長はさらに鈍化しています。また、世界経済の成長は地政学的な対立により押し下げられています。それでも 2015 年の世界経済、鉱工業生産、そして化学業界は 2014 年よりもいくらか堅調に成長すると予想しています」とボックは述べています。その理由のひとつが原油安です。 BASF の 2015 年の見通しは、以下の経済予測に基づいています。(カッコ内は前年の数字)

  • 世界経済の成長率:+ 2.8% (+ 2.5% )
  • 世界の化学品生産の成長率(医薬品を除く):+ 4.2% (+ 4.0% )
  • ユーロ/ドルの平均為替レート: 1 ユーロ= 1.20 ドル( 1 ユーロ= 1.33 ドル)
  • 年間平均ブレント原油価格: 1 バレル= 60 ~ 70 ドル( 1 バレル: 99 ドル)

「世界経済は引き続き大きなリスクに直面するでしょう。そうした不安定で厳しい環境下で、 2015 年も当社は好調な業績の達成と売上高の小幅増加を目指します」とボックは述べています。 2015 年の特別項目控除前 EBIT は、 2014 年と同じ水準になる見込みです。高性能製品部門、機能性材料部門、そして農業関連製品部門が収益により一層大きく貢献すると予想しています。一方、化学品部門の特別項目控除前 EBIT は、操業を開始したばかりの工場への費用がかさみ、小幅に減少する見込みです。また石油・ガス部門の収益は、原油安が原因で大幅に低下する見込みです。

「当社はここ数十年間で最大規模の投資プログラムにより、将来成長のための基盤を築いている最中です。過去数年間かけて、生産フェアブント(統合生産拠点)を強化してきました。新興国市場への投資に加え、米国のシェールガスを有効活用するための投資や、欧州拠点の競争力を高めるための投資も行っています。 2015 年にはあらゆる分野で新工場が操業を開始する予定で、これらの工場は今後 10 年、 20 年、または 30 年間にわたり生産を続けていくことになります」とボックは述べています。その例として、ルートヴィッヒスハーフェン( TDI )と中国の重慶( MDI )にあるポリウレタンの基礎化学品工場と、ブラジルのカマカリにあるアクリル酸と高吸水性樹脂の生産施設を挙げています。主要なプロジェクトが終了したため、 2015 年の投資額は大幅に減少します。石油・ガス部門の投資も前年を下回る見込みです。 BASF は、 2014 年は 51 億ユーロだった資本支出を、 2015 年は全体で 40 億ユーロにする計画です。

競争力を維持するため、 BASF は継続的にオペレーショナル・エクセレンスの改善に取り組みます。「当社の 戦略的卓越性プログラム STEP も役立っています。 2011 年のベースライン予測との比較で、 2015 年末以降 100 を超える個別プロジェクトが毎年約 13 億ユーロの利益を上げると見込んでいます。 2014 年末時点で、 STEP の運用開始時との比較で、すでに 10 億ユーロの利益を達成しています」とボックは述べています。


部門別業績

「化学品部門」 の第 4 四半期の売上高は、販売価格の低下と販売量の減少により、前年同期比 3% 減の 41 億ユーロとなりました。特別項目控除前 EBIT は、石油化学品事業本部が大きく貢献して前年同期比 7,000 万ユーロ増の 5 億 8,000 万ユーロとなりました。通年では、化学品部門の売上高は 170 億ユーロで、前年と同水準でした。販売価格はすべての事業本部で低下しましたが、販売量の増加(特に石油化学品事業本部の販売量の増加)が販売価格の低下を補う形となりました。特別項目控除前 EBIT は 24 億ユーロで、 2013 年の水準を 1 億 8,500 万ユーロ上回りました。これは主に石油化学品事業本部と中間体事業本部の大幅増益によるものです。一方、モノマー事業本部は、利益率の低下で大幅減益となりました。

「高性能製品部門」 は、第 4 四半期の売上高が約 37 億ユーロと前年同期をわずかに上回りました。特別項目控除前 EBIT は 2 億 1,700 万ユーロで、前年同期の水準を維持しました。通年の売上高は前年比 1% 減の 154 億ユーロでした。 1 年を通して市場環境が悪化する中、 BASF は安定した販売価格で販売量を増やすことに成功し、為替のマイナス効果をほぼ完全に補うことができました。特別項目控除前 EBIT は前年同期比 9,000 万ユーロ増の 15 億ユーロとなりました。これは主として組織再編やその他の措置により固定費を削減したためです。

「機能性材料部門」 の第 4 四半期の売上高は、販売量の増加と為替のプラス効果により、前年同期比 8% 増の 44 億ユーロとなりました。特別項目控除前 EBIT は前年同期比 1,800 万ユーロ減の 2 億 2,000 万ユーロとなりました。通年の売上高は、特に自動車産業向け製品の販売量が大幅に増加し、前年比 3% 増の 177 億ユーロとなりました。しかし、販売量の増加は為替のマイナス効果によって抑制されました。販売価格は全般的に安定していました。特別項目控除前 EBIT は、触媒事業本部とコーティングス事業本部の大幅増益を受けて、前年比 1 億 2,700 万ユーロ増の 12 億ユーロに達しました。

「農業関連製品部門」 の第 4 四半期の売上高は、主に販売量の増加により前年同期比 25% 増の 11 億ユーロとなりました。特別項目控除前 EBIT は、前年同期比 5,600 万ユーロ増の 1 億 2,300 万ユーロとなりました。通年の売上高は、為替のマイナス効果を跳ね返し、前年を 4% 上回る 54 億ユーロでした。これは主に欧州と北米における好調な業績に加え、殺菌剤と除草剤の需要が拡大したためです。しかしながら、前年の豊作に起因する農業関連製品における販売価格の低下は、事業にとって大きな負担となりました。為替のマイナス効果、プロダクトミックスの悪化による利益率の低下、そして研究開発のみならず生産や販売にかかる支出の増加などすべてが原因となり、特別項目控除前 EBIT は前年比 1 億 1,300 万ユーロ減の 11 億ユーロとなりました。それでも、 BASF は農業関連製品部門で過去 2 番目に高い収益を達成しています。

「石油・ガス部門」 は、第 4 四半期の販売量が大幅に増加しましたが、原油価格と天然ガス価格の低下を補うことはできませんでした。売上高は前年同期比 3% 減の 40 億ユーロでした。特別項目控除前 EBIT は前年同期比 1 億 5,500 万ユーロ減の 3 億 4,700 万ユーロとなりました。 2014 年通年の売上高は、主に天然ガス取引で販売量が増加したため、前年比 2% 増の 151 億ユーロとなりました。原油価格と天然ガス価格の急落を受け、売上高の伸びは鈍化しました。探索・生産事業部では、スタトイル社から買収したノルウェーでの事業がポートフォリオにプラスの効果をもたらしました。特別項目控除前 EBIT は、探索・生産事業部の貢献がやや低下したため、前年比 6,100 万ユーロ減の 18 億ユーロとなりました。純利益は前年比 2 億 6,600 万ユーロ減の 15 億ユーロとなりました。

「その他」 に分類される事業は、第 4 四半期の売上高が前年同期比 37% 減の 7 億ユーロとなりました。特別項目控除前 EBIT は、前年同期より 8,600 万ユーロ改善し、マイナス 2,800 万ユーロとなりました。通年の売上高は前年比 14% 減の 36 億ユーロでした。これは、オランダのムールデイクにある合弁会社 ELLBA との共同運営工場の停止による工場供給力の低下が主な原因です。特別項目控除前 EBIT は前年比 5,200 万ユーロ改善し、マイナス 5 億 6,600 万ユーロとなりました。長期インセンティブ制度の引当金戻入と、どの部門にも割り当てられない外貨運用実績の改善が、「その他」の事業の利益貢献度の低下を一部相殺する形となりました。


日本の BASF について
BASF は日本では 1888 年に事業を開始いたしました。事業活動は、化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品の 4 分野です。主要生産拠点は神奈川県茅ヶ崎市(コンクリート混和剤、建設資材)、茨城県古河市(パーソナルケア製品原料)、茨城県北茨城市(プラスチック添加剤)、横浜市戸塚区(コーティングス)、三重県四日市市(熱可塑性ポリウレタン、ポリマーディスパージョン)です。また、研究開発においては、日本から革新的な製品をグローバル市場に発信することを目指しています。 2012 年には「横浜イノベーションセンター」(エンジニアリングプラスチック)を、 2013 年には既存の尼崎研究開発センターを拡張し、バッテリー材料に特化した研究施設「尼崎研究開発センターバッテリー材料研究所」を新設しました。 2014 年の BASF の日本での売上は 2079 億円(約 14.8 億ユーロ)、従業員数は 1,138 人です。


BASF について
BASF (ビーエーエスエフ)は 2015 年、創立 150 周年を迎え、これまで以上に化学でいい関係をつくっていきます。製品ラインは、化学品、プラスチック、高性能製品、農業関連製品、石油・ガスと多岐にわたっています。 BASF は、世界をリードする化学会社として、経済的な成功、社会的責任、そして環境保護を同時に実現しています。また、 BASF は科学とイノベーションを通して現代社会や将来のニーズを提示しながら、ほぼすべての産業のお客様を支援しています。 BASF の製品とソリューションは、資源の確保に貢献し、栄養価の高い食品を提供するとともに、生活の質の向上に寄与しています。 BASF は「私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります」を企業目標に掲げ、これらの活動を実施しています。 2014 年の売上は約 740 億ユーロで、従業員数は約 11 万 3000 人です。 BASF の詳しい情報は、www.basf.com(英語)、newsroom.basf.com(英語)、www.japan.basf.com(日本語)をご覧ください。

 

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Last Update 2015年2月27日