2016年4月26日

BASFが支援する学生の宇宙農業研究プロジェクトにて挿し木を載せたロケットの打ち上げが決定

( 本資料は 2016年4月12日にBASF本社(ドイツ)で発表されたプレスリリースの和訳です。)

  • NASA の教育プログラムに採用されるドイツ初の学生プロジェクト
  • 今夏、国際宇宙ステーション(ISS)へロケットを打ち上げ
  • 植物の生育における微小重力の影響を調べる学生の研究を支援

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)の支援する学生プロジェクト「V3PO」の研究の一貫として、研究対象となる植物の挿し木が、今年夏に国際宇宙ステーション(ISS)へロケットで打ち上げられることが決定しました。このプロジェクトは、NASAの教育プログラムに採用されるドイツ初の学生プロジェクトであり、BASF は今回のプロジェクトに科学面での支援をする唯一の企業です。

プロジェクトの主な課題は、宇宙飛行を支える新鮮な食料を生産するにあたり、大量の種を運ばずに宇宙環境で植物を繁殖させることです。BASFとNASAはこの課題に関心を寄せ、BASFがプロジェクトの科学面での支援を行うとともに、NASAによって宇宙ステーションでの実験が実現する運びとなりました。

V3POプロジェクトのメンバーであるマリア・コッホ氏、ラファエル・シリング氏、デイヴィット・ジェレイ氏の3人は、ドイツのラーフェンスブルクにあるエーディト・シュタイン・スクールで農業を専攻する学生です。「挿し木は無重力下で根を生やすことができるのか。またその場合、時間とともに根はどのように成長するのか」について明らかにしたいと考えています。3人は、適切な実験計画を立てるために、ドイツのリンブルガーホフにある BASF の農業研究所でのインターンシップに参加し、フロリダにあるケネディ宇宙センターの実験室で実施する実験の準備を行いました。 宇宙環境では温度や湿度の違いから挿し木が細菌や菌類に感染する可能性が高いため、BASFは専門知識と製品を当実験に提供しています。国際宇宙ステーションでの研究期間、およびその前後において、挿し木が糸状菌由来病害にかからないようにするために、BASFの殺菌剤が役立ちます。

BASF農薬事業本部の開発初期殺菌剤生物評価事業部担当のDr. セバスチャン・ローラーは次のように述べています。「今回のプロジェクトは、私たちがこれまで参加した中で最もすばらしいフィールド実験になることでしょう。私たちは実験の開始を心待ちにしており、その結果に大きな関心を寄せています。」

学生による先進的な研究プロジェクト

これまで無重力下で行われてきた実験では、種子の発芽時の根の成長の研究に重点が置かれていました。しかし、種子と違って挿し木には根がありません。学生たちは今回の実験で、重力の影響がない環境で挿し木は根、芽、葉を成長させることができるのか、またその仕組みについて明らかにすることを目的としています。 国際宇宙ステーションでの実験と同時に、地球では重力の影響下での対照実験も行われる予定です。無重力でも植物の繁殖に挿し木が利用できるのであれば、火星への飛行など長期の宇宙飛行時の食料供給において、大きな一歩を踏み出すこととなるでしょう。

BASF、農業分野における未来の科学者と連携

BASF農薬事業本部の研究開発担当シニア・バイスプレジデントである Dr. ハラルド・ラングは次のように述べています。「私たちは、世界のさまざまな問題を解決する画期的な方法を求めて日々努力を重ねており、斬新なアイデアと既成の枠にとらわれない発想を求めています。 今回BASF が、科学面でのアドバイスを通じてV3PO チームを支援するのはまさにこのためです。植物の成長の様子についての新たな洞察に加えて、 新しい分野へのインスピレーションが得られることを期待しています。」

V3PO プロジェクトはBASFのほかに、 Dreamup、mymicrogravity、ドイツ連邦経済エネルギー省、ドイツ航空宇宙センター、事業コンサルタント会社、エアバス、Kreissparkasse Ravensburgがスポンサーとして支援しています。

 

エーディト・シュタイン・スクールについて
エーディト・シュタイン・スクール・ラーベンスブルク&アウレンドルフは20を超えるさまざまな種類の教育プログラムを行う専門学校です。エーディト・シュタイン・スクールには約2,000人の生徒と140人以上の教員がおり、数年前、世界各地の9,000校が加盟するユネスコ・スクールの1つとなりました。教員チームが“Jugend forscht”のような科学コンテストへの出場に向け、才能ある生徒たちをサポートしており、近年ではドイツ国内でも最高レベルの成功を収めています。エーディト・シュタイン・スクールに関する詳細は、www.ess-rv.deをご覧ください

BASFの農薬事業本部について
BASF の農薬事業本部は、農業、芝生管理、花卉、害虫駆除(PCO)、および公衆衛生において、革新的なソリューションを提供しており、2015 年に58億ユーロを超える売上を計上しました。幅広い製品ポートフォリオを支える数々の有効成分、種子処理、生物的防除、製剤開発、および技術サービスが、高品質な食品の効率的な生産を最適化し、作物の収穫後ロスを削減し、建物の損傷を防ぎ、病原菌の感染を抑えます。BASF の農薬事業本部は、新たな技術やノウハウの提供を通じて、より良い暮らしを実現する農業生産者や害虫防除業者の取り組みをサポートしています。詳細情報に関しては、www.agro.basf.com、またはソーシャルメディアをご参照ください。

BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります。また、経済的な成功、環境保護、そして社会的責任を同時に実現しています。BASFでは、約112,000人の社員一人ひとりがほぼすべての産業、ほぼすべての国においてお客様の成功に貢献できるよう努めています。製品ポートフォリオは化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品、石油・ガスの5つの部門から成ります。2015年、BASFは700億ユーロを超える売上高を達成しました。BASFの詳しい情報は、 www.basf.com(英語)、 newsroom.basf.com(英語)、 www.basf.com/jp(日本語)をご覧ください。

NASAの教育プログラムに初めて採用された、ドイツの学生によるプロジェクト エーディト・シュタイン・スクールに通う学生たち(左から、デイヴィット・ジェレイ氏、マリア・コッホ氏、ラファエル・シリング氏)。国際宇宙ステーションへ打ち 上げる植物「オオイタビ」を持って。

NASAの教育プログラムに初めて採用された、ドイツの学生によるプロジェクト エーディト・シュタイン・スクールに通う学生たち(左から、デイヴィット・ジェレイ氏、マリア・コッホ氏、ラファエル・シリング氏)。国際宇宙ステーションへ打ち 上げる植物「オオイタビ」を持って。

Last Update 2016年4月26日