2016年5月30日

BASFの建設化学品が採用された、世界最長の鉄道用トンネル ゴッタルドベーストンネルが開通

本資料は 2016525日にBASF本社(ドイツ)で発表されたプレスリリースの和訳です。)

  • BASFのコンクリート混和剤が困難な問題を解決
  • BASFの耐火性に優れたモルタル、およびセメント注入のソリューションが、高い安全性を実現

20 年近くにわたる工事期間を経て、6月1日にスイスのゴッタルドベーストンネルが開通します。BASFの建設化学品は、この世界最長の鉄道用トンネルの実現に貢献してきました。BASF建設化学品部門プレジデントのラルフ・シュペットマンは次のように述べています。「BASFの革新的なソリューションとノウハウが、この歴史的な建設プロジェクトにおける諸問題の克服に貢献できたことを大変うれしく思います。」

全長57キロメートルに及ぶゴッタルドベーストンネルの建設には約400万トンのコンクリートが使用されており、これは世界一高い高層ビル ブルジュ・ハリファに使用されたコンクリート量のおよそ40倍に上ります。当トンネルの建設プロジェクトにおいて、BASF はコンクリート混和剤と地下水の浸入防止のためのセメント注入剤、耐火性に優れたモルタルを提供しています。

長距離輸送とトンネル内の高温に対応

エルストフェルト駅とセドルン駅を結ぶ20キロメートルの区間には、2本のトンネルが並行して設置され、それらを連結する接続ギャラリーがおよそ300メートル間隔に設けられています。これらの建設に使用されているのがBASFのコンクリート混和剤です。BASF 地下建設事業ドイツ・オーストリア・スイス担当プレジデントのルネ・ボーリガーは次のように述べています。「地下建設分野では、コンクリートに相反する要望が求められます。つまり、山から地下へとコンクリートを長距離輸送する際には、高い流動性を何時間も保ち、決して固まらせてはいけない一方で、トンネルの壁に吹き付けたコンクリートは、極めて短時間に固まることが求められるのです。これは、ゴッタルドベーストンネルの建設において最も難しい問題でした。」BASFはコンクリート混和剤を適切に組み合わせ、この難問を解決しました。高性能減水剤「マスターグレ二ウム」がコンクリートの高い流動性を実現するとともに、「マスターロックSA」シリーズの吹付けコンクリート用液体急結剤が、トンネルの壁部に吹き付けたコンクリートの速やかな硬化を可能にしています。また、ゴッタルドベーストンネルの建設用にBASF が特別に開発したマスターセット製品群の混和剤により、セメントの水和反応の大幅な抑制が実現しました。マスターグレ二ウムとの併用により、トンネル内の高温にさらされ、かつ長距離の輸送を経たコンクリートを最適に打設することが可能となりました。BASF の高性能減水剤および凝結遅延剤は、掘削直後の吹付けコンクリートおよび覆工コンクリートに使用されています。

立坑向けのコンクリートソリューション

セドルン村から地下のトンネル内に設置された多機能ステーションに通じる、深さ800メートルを超える2つの立坑は、列車の非常口としての役割を持ち、換気装置およびそのほかの技術的設備が内蔵されています。BASF のソリューションは、ここでも役立っています。トンネル同様これらの立坑も、吹付けコンクリートで固定されたのちに、注入されたコンクリートで作られた壁で覆われています。「立坑内に垂直に設置された輸送管を使用して、コンクリートを地下に送り込むことは大変難しい問題でした。コンクリートが輸送管内を流れる際に、成分の分離を防ぐ必要があったのです」とボーリガーは説明しています。BASF は用途に即したマスターグレ二ウムを選び、使用条件に即した最適な用量を見極めて、輸送管内を数百メートル降下したコンクリートの高い流動性を実現しました。また、地下水の浸入防止にはBASF の超微粒子セメント「マスターロックMP 650」が採用され、岩の亀裂や空洞部に注入されています。

BASFが優れた耐火性を実現

トンネルでの火災は大きな危険をもたらすため、火災に対する高い安全性が要求されます。1,000°C以上に達したコンクリートは荷重負担能力を失い、トンネルの崩落が生じます。そのためゴッタルドベーストンネルの南側入り口付近の壁には、耐火性に優れたBASFのモルタル「マスターロックFP 1350」が塗布されています。BASFで地下建設火災防止ソリューションを担当する専門研究員フランク・クレメントは次のように述べています。「マスターロックFP 1350を利用すれば、トンネルの壁部は1,400°C の高温に90 分以上耐えることが可能となります。これは消火活動にとって貴重な時間となると考えています。」

スイスの大規模プロジェクト―ゴッタルドベーストンネル

ゴッタルドベーストンネルは、総工費約90億ユーロをかけて完成した、世界最長の鉄道用トンネルです。アルプス山脈を貫くルートにより、チューリッヒ―ミラノ間の移動時間がおよそ1時間短縮されます。またトンネル内では高低差が大幅に解消され、最高地点 (海抜550メートル)とエルストフェルトのトンネル北側の入り口との高低差はわずか90 メートルとなっています。このため、貨物列車の積載荷重を倍増し、トンネル内を2倍の速度で移動することが可能になります。これに対し、従来のゴッタルド鉄道では、エルストフェルトと1882年開通の初代ゴッタルドトンネル内の最高地点との高低差は、およそ700メートルにもなります。

 

BASFの建設化学品事業部について

BASF の建設化学品事業部門は、構造物の新設、メンテナンス、補修、改修における先進的で化学的なソリューションを提供します。包括的な製品ポートフォリオは、コンクリート混和剤、セメント添加剤、地下建設用ソリューション、防水システム、シーリング剤、コンクリート補修保護システム、高性能グラウト材、高性能床材、固定システム、膨張収縮目地システム、防腐剤などで構成されています。全世界における建設化学品事業部の従業員は約5,500人で、建設分野の専門家により世界規模の技術支援体制でお客様をサポートしています。コンセプト作りからプロジェクト竣工までお客様の課題解決のため、BASFは、専門知識や現地のノウハウを組み合わせて、世界における多数の建設プロジェクトで培った経験を生かします。また、技術だけでなく、現地の建築ニーズの深い知識を活用することで、お客様のさらなる成功をサポートするイノベーションを開発し、持続可能な建設業界を牽引します。建設化学品事業部門は、世界で50カ国以上に製造及び販売拠点を構え、2015年の売上は約23億ユーロです。

BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります。また、経済的な成功、環境保護、そして社会的責任を同時に実現しています。BASFでは、約112,000人の社員一人ひとりがほぼすべての産業、ほぼすべての国においてお客様の成功に貢献できるよう努めています。製品ポートフォリオは化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品、石油・ガスの5つの部門から成ります。2015年、BASFは700億ユーロを超える売上高を達成しました。BASFの詳しい情報は、 www.basf.com(英語)、 newsroom.basf.com(英語)、 www.basf.com/jp(日本語)をご覧ください。

ゴッタルドベーストンネルの南側入り口付近の壁にはBASFの耐火性に優れたモルタルが使用されており、1,400°C の高温に90 分以上耐えることが可能となります。これは消火活動にとって貴重な時間となると考えています。

ゴッタルドベーストンネルの南側入り口付近の壁にはBASFの耐火性に優れたモルタルが使用されており、1,400°C の高温に90 分以上耐えることが可能となります。これは消火活動にとって貴重な時間となると考えています。

Last Update 2016年5月30日