2016年6月24日

BASF、研究開発に注力し迅速化を実現

( 本資料は 2016年6月8日にBASF本社(ドイツ)で発表されたプレスリリースの和訳です。)

  • 成功要因を見極め、イノベーションと技術革新による収益性向上を目指す
  • 約10,000人の研究者と20億ユーロの研究開発費によりイノベーションを推進
  • BASFの3つのグローバル・リサーチ・プラットフォームで推進しているプロジェクトを発表

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は、2016年6月8日、 本社にてリサーチプレスカンファレンスを開催しました。BASF取締役会副会長兼最高技術責任者(CTO)であるDr. マーティン・ブルーダーミュラーは、「絶え間ない変化の過程にあるイノベーション主導型の化学・テクノロジー業界において、優れた実績を維持するために、BASFは研究開発に一層注力し、迅速化を実現します」と述べました。BASFの研究開発はすでに高い実績を上げており、革新的な製品が約100億ユーロの売上を生み出していますが、その確立した手法を状況の変化に応じて変えていくことが重要です。

「BASFの研究開発における成功要因は、創造性、効率性、および統合化です。創造性を育み、必要な環境を整えることは、BASFにとって最も重要なことのひとつです。統合することにより、創造性と効率性が生み出されます。そのためには、社外ネットワークの活用とともに、BASFが世界中に展開する研究開発フェアブント(ネットワーク)の知力を結集することが重要です。研究開発に携わるBASFの社員一人ひとりが集中して自律的に取り組むとともに、柔軟で新しいことを受け入れる姿勢が求められます。私たちは、自らに挑戦し続けることで変化に柔軟に対応し、的確な課題に集中して取り組むことで迅速化を実現していきます」とブルーダーミュラーは述べました。

世界に展開するノウハウ・フェアブントが生み出す優れた実績

化学を基盤とするイノベーションには、顧客のニーズに焦点を当てた市場志向の研究開発が必須です。2015年時点で進行中の研究開発プロジェクトはおよそ3,000件で、研究開発費は19億5,300万ユーロに上ります(2014年は18億8,400万ユーロ )。研究開発費の79%は各事業部門の研究開発に充てられ、残り21%はBASFグループにとって重要性の高い、事業部をまたがる長期的な戦略に対応するトピックに取り組む研究に投資されました。有望なアイデアをさらに速やかに市場に投入するため、研究プロジェクトを定期的に査定し、取り組むべきトピックの絞り込みを行っています。

BASFのイノベーション力の基盤となるのが、様々な分野からの優秀な社員によって構成されたグローバルチームです。2015年に研究開発に携わった社員は、およそ10,000人に上ります。BASFのグローバル・リサーチ・プラットフォームは主に3つの組織(「プロセスリサーチ&ケミカルエンジニアリング」、「先進材料&システムリサーチ」、「バイオサイエンスリサーチ」)から成り、BASFの主要地域である欧州、アジア太平洋、および北米にそれぞれ本部が置かれています。各事業部門の開発チームとともに、これらのリサーチ・プラットフォームはBASFのノウハウ・フェアブントの中核を形成します。研究開発に従事する社員数が約4,900人に上るルートヴィッヒスハーフェン(リンブルガーホフを含む)は、BASFのリサーチ・フェアブントの最大拠点となっています。BASFは昨年、先進材料&システムリサーチの新しい研究棟をドイツ本社に建設し、約200人の研究員に最新のワークスペースと理想的な連携環境を整え、リサーチ・フェアブントを一層強化しました。

リサーチプレスカンファレンスでは、BASFの各研究プラットフォームで現在進行中のプロジェクトが発表されました。

触媒:排ガス浄化および石油精製に向けた付加価値

プロセスリサーチ&ケミカルエンジニアリングが取り組んだのは、BASFの銅イオン交換ゼオライト(CHA型)などの、スペシャリティゼオライトです。これらは排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)の除去能力に優れ、ディーゼルエンジンの排ガス浄化触媒で重要な役割を果たします。排ガス規制の厳格化に伴い、自動車向けの最新触媒システムに対する需要が高まっています。BASFの研究者はこの需要に応えるため、次世代スペシャリティゼオライトの開発に一貫して取り組んでいます。先進的な素材と工程を採用し、ゼオライトの細孔の大きさを調整して、粒子径の均一性を高めています。またBASFが石油精製に向けて開発したホウ素ベースの触媒技術(BoroCatTM)は、原油からガソリンや軽油など価値のある製品の収率を向上させます。原油に含まれるニッケルは、石油コークスや水素などの望ましくない副産物の生成を大幅に増加させるため、精製工程に問題をもたらします。最適化された多孔構造を持つBASFの画期的なBoroCat流動接触分解(FCC)触媒は、精製工程でニッケルを補足して、有害な化学反応を防ぎます。

ホワイトバイオテクノロジー:飼料向けの熱安定性に優れた酵素

バイオサイエンスリサーチは、BASFの研究者によって開発された飼料用フィターゼ(Natuphos® E)の改良に取り組みました。フィターゼは、植物に含まれるリン酸塩の消化を促進する酵素です。酵素は熱に弱いものが多く、飼料を製造するペレット化の過程で、高温にさらされ破壊されて効果が失われます。効果的で熱安定性に優れたフィターゼを開発するため、BASFの研究者は微生物に存在する様々なフィターゼを調べ、バイオテクノロジーの手法を用いてこれらのフィターゼから最も優れたハイブリッドを開発しました。開発されたハイブリッドはその後さらに改良され、酵素の発酵(バイオプロセス)に向けて、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)をベースとした生産菌株が開発されました。この新しいフィターゼは、アジアと南米の一部の国々、および米国ですでに発売されており、欧州では2016年中に承認される予定です。

プラスチック:騒音と振動を最小限に抑制

先進材料&システムリサーチは「騒音、振動、および不快感」というテーマに取り組みました。BASFのエキスパートは、素材や部品の設計を通じて、不快な騒音や振動を最小化する可能性を追求しています。住居や職場環境でのオートメーション化が進むにつれて機器類からの振動や雑音レベルが増しており、騒音と振動の抑制の重要性が増しています。また同時に、騒音の質にも変化が見られます。例えばエレクトロモビリティの分野では、エンジン音の抑制が進む一方で、不快な振動や周波数が顕著になり、削減が求められています。家電製品においても同様です。 都市化が進み、多くの人々が限定された空間で生活するようになってきていますが、家庭内の電化製品数の増加に加えて、個々の製品の性能も上がり、その結果発生する騒音と振動の抑制が重要になってきています。 BASFでは化学者、物理学者、および技術者によって構成されたチームが、人間が感知する周波数1~20,000 Hzの最適化に使用される様々なポリマー(高分子)ソリューションの強化を行っています。コンピュータシミュレーションを駆使し、周波数範囲や要件に応じて部品の設計や使用材料(ポリアミド、ポリウレタン、メラミン樹脂発泡体)の分子構造、そして発泡体構造を調整することが可能です。

BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります。また、経済的な成功、環境保護、そして社会的責任を同時に実現しています。BASFでは、約112,000人の社員一人ひとりがほぼすべての産業、ほぼすべての国においてお客様の成功に貢献できるよう努めています。製品ポートフォリオは化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品、石油・ガスの5つの部門から成ります。2015年、BASFは700億ユーロを超える売上高を達成しました。BASFの詳しい情報は、www.basf.com(英語)、newsroom.basf.com(英語)、www.basf.com/jp(日本語)をご覧ください。

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Last Update 2016年6月24日