2016年10月28日

ドイツルートヴィッヒスハーフェンで発生した事故に関する最新情報

2016 年10月27日 (ドイツ本社にて発表)

10月17日午前11:30 (ドイツ時間)に、BASF本社工場(ドイツ:ルートヴィッヒスハーフェン)のノースハーバーにて、爆発と火災が発生しました。BASF取締役会会長のクルト・ボックは次のように述べています。「今回の事故により、消防本部の社員2人と、船舶会社の船員1人が亡くなりました。亡くなられた方とそのご家族に哀悼の意を表します。」 

事故に関して現時点で判明している情報は以下の通りです。

死傷者:

BASF消防本部の社員2人と、港に停留していた船舶会社の社員1人が事故により亡くなりました。8人が重傷を負ったほか22人が軽傷を負いました。重傷を負った内の1人は既に退院しています。

事故の経緯: 

事故の経緯については地元のフランケンタール検察により引き続き調査が行われており、事故現場は閉鎖されています。事故発生の数日前から、パイプラインの専門業者が、中身が空の安全な状態でエチレンパイプラインルートの組立作業を行っていました。これは、予防保全を目的としたパイプラインの複数箇所の交換作業です。10 月17 日、事故発生当日の午前11 時30 分(ドイツ時間)に、組立作業が行われていた付近から火災が発生しました。その数分後、BASF 消防本部、救急隊、環境保全の担当者が火災発生現場に到着し、緊急対応を開始しました。その初期段階で爆発が生じました。おそらくエチレンパイプラインから発生したと見られます。その爆発により、パイプライントレンチの様々な部分に引火しました。その直後、増援の緊急部隊が現場に駆けつけ、救助活動、消火活動および冷却作業を開始しました。「緊急部隊は極限状態の中で救助活動を行いました。彼らの活動がどんなに困難を極めたか、その努力は言葉では言い表すことができません」とBASF 取締役マーガレット・ズッカーレは述べています。

漏洩した製品は、高圧ガス関連の消防指針に基づき、消防隊の管理のもと燃焼させました。火災が発生したパイプラインには、エチレン、プロピレン、ブチレン混合留分(ラフィネート)、分解ガソリン、エチルヘキサノールが含まれます。10月17日午後9時30分(ドイツ時間)に消防隊により鎮圧しました。

環境への影響:

火災発生が発生した直後から、事故現場、工場のゲート、ルートヴィッヒスハーフェンやマンハイムなどの周辺地域等で包括的な大気測定が行われました。その結果、有害物質の上昇は見られなかったことが、ラインラント・プファルツの環境局およびルートヴィッヒスハーフェン市によって確認されています。 さらに周辺地区の街、シュパイヤー、ヴォルムス、フランケンタールでの測定も行われましたが、異常は見られませんでした。数値の上昇は火災事故現場の非常に限られたエリアで確認されたのみです。BASFは大気測定結果の詳細をオンライン上で公開しています。(ドイツ語) また、採水の測定も行われ、こちらについても有害物質に関する数値の異常は見られませんでした。なお、事故現場の土壌については、汚染の可能性があります。

調査状況:

10月26日、フランケンタール/プファルツ検察およびラインプファルツ警察により、以下の内容が発表されました。

「事故現場での調査を集中的に実施している中で、パイプラインに切れ目が入っていることが確認されました。これは明らかにカットオフディスク(切断機の刃部分)によるものです。当時、その側のパイプラインでメンテナンス作業が行われており、アングルグラインダー(回転式の切断機)が使用されていました。切れ目が発見されたパイプラインでは可燃性のラフィネートが流れており、当時の作業対象ではありませんでした。」(フランケンタール/プファルツ検察およびラインプファルツ警察によるプレスリリースの和訳。)

現時点で確認された状況から、次のような原因が考えられます。切れ目が入ったパイプラインにはブチレン混合留分が含まれていました。その切れ目から漏れ出たブチレン混合留分に、アングルグラインダーからの火の粉が飛び発火したのではないかと、BASFは推測しています。BASFは今後も引き続き、関係当局の調査に積極的に協力します。

ルートヴィッヒスハーフェンサイトでの安全対策について:

ルートヴィッヒスハーフェンサイトのみならず、BASFは世界中で安全を最優先として活動しています。環境保護、健康、安全は、BASFが掲げるバリューと目標においても重要な要素です。既存プラントの操業、新規プラントの計画および建設においても常に安全を最優先し、責任を持って対応しています。過去10年間、BASFは減価償却費を上回る投資をルートヴィッヒスハーフェンサイトで行ってきました。その結果、現在ではサイト内の固定資産の3分の1以上が更新され、より安全で持続可能な状態になっています。これまでに計100億ユーロがメンテナンスや修理に充てられて、その費用は年々増加しています。

また、サイト内のプラントは信頼のおける状態で、これは様々な関係当局による監査、および社内監査により確認されています。ルートヴィッヒスハーフェンでは、関係当局との打ち合わせが年間300件以上行われており、そのうち160件は監査に関するものです。今回火災が発生したノースハーバーおよびダメージを受けたパイプラインは2012年9月に定期監査を受け、その結果、技術面、構造面での欠陥は見られませんでした。

ビジネスへの影響および今後の予定:

火災により、スチームクラッカーによる原料供給が中断されました。これに伴い、主にエチレン、プロピレンのバリューチェーンに関連するプラントが操業を停止または減産しています。在庫している原料を使用して製造を継続しているプラントもあります。 一方、スチームクラッカーを含む複数のプラントが、生産を再開しました。今後数週間にわたり、その他のプラントも段階的に製造を再開していきます。BASFは現在、お客様への納品に及ぼす影響を最小限に抑えるため、様々な対策を検討しています。BASFは今回の事故で製品の供給に影響する可能性があるお客様に迅速に連絡し、引き続き供給状況についてお知らせしています。

ロジスティック面での現状:

ノースハーバーは現在稼働を停止していますが、ルートヴィッヒスハーフェンサイトが有するその他の港であるリバーサイドハーバーおよびフリーゼンハイム島(ライン川の中州)の港、および石油貯蔵施設は稼働しています。フリーゼンハイム島の港では液体を、リバーサイドハーバーでは固体・液体両方の取り扱いが可能です。また、事故後の安全対策のため、インターモーダル輸送ターミナルは閉鎖が続いています。施設へのダメージはなく、第44週(10月31日の週)を目途に再開できるよう準備を進めています。 火災による鉄道への影響もありません。

Last Update 2016年10月28日