2017年7月11日

BASF、研究におけるデジタル化を世界中で推進

(本資料は 2017年6月29日にBASF本社(ドイツ)で発表されたプレスリリースの和訳です。)

  • デジタルテクノロジーのさらなる活用により、化学に基づいたイノベーションにおいてBASFの主導的地位を強化
  • 化学業界最大のスーパーコンピューターによって、研究者が複雑なモデリングを実施する機会を新たに創出
  • 革新的製品の開発にあたってデジタルツールの幅広い活用を、 リサーチプレスカンファレンスで提示

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は、2017年6月29日、 本社にてリサーチプレスカンファレンスを開催し、化学研究のデジタル化やそのツール、用途についての見解を発表しました。BASFの戦略的目標は、デジタル化によってバリューチェーン全体にもたらされる膨大な機会を積極的に活用することです。そして、新たなテクノロジーを利用してイノベーション力や競争力をさらに高めるためには、研究開発が重要な役割を果たします。

BASF取締役会副会長 兼 最高技術責任者(CTO)であるDr. マーティン・ブルーダーミュラーは次のように述べています。「研究開発においてデジタルテクノロジーをこれまで以上に活用することで、化学業界において世界で最も革新的な企業としての地位を強化します。特に、新しいスーパーコンピューターの活用により、複雑な課題を非常に効率よく研究することができ、新製品の市場投入に要する時間をさらに短縮することが可能になります。お客様のニーズに合わせた化学に基づくイノベーションの需要に、より一層応えられるようになるでしょう。」

プレスカンファレンスでは様々な応用分野の専門家が、研究開発におけるデジタル化が実際どのように機能するかについて発表しました。重要な要素としては、ルートヴィッヒスハーフェンで今夏稼働し始める新しいスーパーコンピューターが挙げられます。このスーパーコンピューターの計算能力は1.75ペタフロップスで、これは現在BASFが研究のためのシミュレーションに投じているコンピューターの計算能力の約10倍にあたります。このスーパーコンピューターは、スーパーコンピューターの性能ランキング「TOP 500」で65位となっています。また、このスーパーコンピューターの名前について社内コンテストを実施した結果、「Quriosity」と名付けられました。この投資は製品開発における新境地開拓の大きな可能性を表現しています。

仮想実験と現実の実験が互いを補完

デジタルテクノロジーの研究開発への影響が、急速に拡大しています。大量のデータを管理することが、将来の科学的成功、そしてビジネスの成功における決定的要因となっています。BASFのデジタルアプローチでは、仮想モデリングやコンピュータシミュレーションが、研究室内で行われる実際の実験と密接に連携し、互いを補完しています。シミュレーションが実験の計画から、その結果の予測まで容易にする一方、実際の実験は実測値を提供し、コンピュータモデルの精度の検証が行われます。これにより、化学製品や化学プロセスをより深く理解することが可能になり、優れたイノベーションをより短期間で実現します。

デジタル化によって、研究者はクリエイティブなアイデアを実行に移し、世界中の人たちと連携していく一層の機会を得ることができます。BASFの専門家は、デジタルテクノロジーを研究開発ユニットの日常業務に直接組み込むことは必要不可欠だと考えています。問題を効果的に解決するには、知見を蓄積したシステムに直接アクセスすることが必要であり、それが新たな展望を開くことにつながります。例えば、クラウドベースのアプリプラットフォームを活用すれば、あらゆる研究者が知見を蓄積したデータネットワークを容易に拡大できるようになります。

BASFの研究者がここ数カ月で行ったプロジェクトの成功により、デジタル化が研究にもたらす大きな可能性が証明されました。例えば、中間体の製品であるエチレンオキシドの製造に使われる触媒に関するデータの体系的調査を、研究者たちは初めて行うことができました。この調査により、触媒のフォーミュレーションと応用特性の間に相関性が見出だされ、触媒の性能と寿命を、より正確かつ迅速に予測できるようになりました。

大量のデータのターゲットサーチ

有効成分の安定したフォーミュレーションに使用される、新たな機能性ポリマーのモデリングにおいても、デジタルテクノロジーが決定的な役割を果たしました。BASFの専門家は10,000を超える可能性の中から、適切なポリマー構造を特定することができました。その後実際にそのポリマーを合成し、望ましいフォーミュレーションが得られ、非常に高濃度のエマルジョンの生産が可能になりました。こうしたモデリングは、今やフォーミュレーションの開発において定着した要素となっています。

「データマイニング」では、膨大な量の既存データから有用な知識を抽出することができます。例えばバイオテクノロジーの分野における製品開発やプロセス開発では、見込みのある酵素を迅速に特定したり、適切なバクテリアを発見したりすることも考えられます。

デジタル化は農業生産者もサポート

BASFは内外の協力を得ながら、農業のデジタル変革においても重要な役割を果たしています。Maglis®は、農業生産者が入手可能な情報を一層効率よく利用して、耕作について適切な決定ができるようにするオンラインアプリケーションです。BASFが5月末に買収したZedX社は、気象、植物の生長と病気の蔓延、雑草、害虫に関する農学的なモデリングの開発を専門的に行う企業です。BASFとZedXは、気象と環境条件に基づいてBASFの除草剤の適切な使用方法を特定するモデルを、すでに共同開発しています。

研究開発への投資額で、高い水準のコミットメントを示す

BASFは、過去数年にわたり研究開発に対して行ってきた高水準の投資を、今後も維持していくことを目指しています。2016年の研究開発への支出額は、18億6,300万ユーロに達しました。これは植物バイオテクノロジー分野における活動の構造的調整のため、前年(19億5,300万ユーロ)比微減となりました。2016年、BASFの研究パイプラインでは約3,000のプロジェクトが行われており、世界各地の研究開発部門に所属する約10,000人の社員が従事しています。またBASFは、様々な分野において約600の大学、研究機関、企業と協力パートナーシップを構築しています。こうしたグローバルなネットワークが、ノウハウ・フェアブントの重要な柱となっています。

 

BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は世界をリードする化学会社(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)で、持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります。また、経済的な成功、環境保護、そして社会的責任を同時に実現しています。BASFでは、約114,000人の社員一人ひとりがほぼすべての産業、ほぼすべての国においてお客様の成功に貢献できるよう努めています。製品ポートフォリオは化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品、石油・ガスの5つの部門から成ります。2016年、BASFは約580億ユーロの売上高を達成しました。BASFの詳しい情報は、www.basf.com(英)、newsroom.basf.com(英語)、www.basf.com/jp(日本語)をご覧ください。

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Last Update 2017年7月11日