Trade News  |  2019年9月4日

BASFの土壌生分解性プラスチックecovio® M2351、トマト栽培における土壌の改良、収穫量の増加、味の向上に貢献

(この資料は BASF本社(ドイツ)が 2019年8月22日に発表した英語のプレスリリースをBASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。)

  • 農作物の生育向上および環境負荷低減に寄与するマルチフィルム用の土壌生分解性プラスチックecovio® M2351

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は、土壌生分解性プラスチックecovio® M2351を提供しています。ecovio® M2351は、生分解性コポリエステルであるポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)であるecoflex®および再生可能原料から製造された他の生分解性ポリマーで構成される、認証済みのマルチフィルム用土壌生分解性プラスチックです。ecovio® M2351で作られたマルチフィルムは、土壌中の天然に存在する微生物が、代謝可能な食物としてフィルムの構造を認識するため、収穫後に土壌に鋤き込むことができます。

さらに、ecovio®で作られたマルチフィルムは無マルチ農法と比較して、トマト収穫量を15~50%増加させ、水の消費量を減らし、除草剤を減らしながら雑草を抑制させることも可能になります。さらに、真菌病(菌類病)に対する作物の抵抗性が高く、収穫時期が早まるほか、品質が安定し、トマトの糖水比を示すBrix値(糖度)が高くなることがわかっています。したがって、ecovio® M2351の使用により、持続可能な農業と、より高い収穫量と高品質の効率的な農業生産を同時に実現することができます。

トマトは、加工食品業界向けに世界で最も多く栽培されている野菜です。多くの国の生産者が、ポリエチレン(PE)製のマルチフィルムを使用して、雑草、土壌温度および水使用を制御することによってトマトの収穫量を増やしています。しかし、PEマルチフィルムの残留物は微生物によって生分解されず、土壌に蓄積されます。そのため、PEマルチフィルムを収穫後に土壌から除去する必要がありますが、薄いフィルムを完全に回収することは通常不可能です。

持続可能な農業:日々の農作業で検証

ecovio® M2351で作られたフィルムは、手間や労力をかけて回収して産廃処理するのではなく、収穫後に土壌に鋤き込むことができるため、労働力とコスト削減につながります。スイスのチューリッヒ工科大学の研究により、プラスチックのPBATから作られたフィルムは、バクテリアや菌類などの土壌微生物のエサとなることが分かっています。微生物はポリマーから炭素を取り込んで、エネルギーを生成し、バイオマスを形成します。生分解後に残った最終生成物は、二酸化炭素、水およびバイオマスです。これは、PBATが土壌中で生物学的に分解し、PEのマイクロプラスチックのように土壌に残留しないことを意味します。したがって、土壌生分解性マルチフィルムは、根の発育、作物の成長および土壌品質の向上に貢献します。ecovio® M2351は、EU域内における統一規格であるEN規格DIN EN17033に則り、土壌生分解性であると認証された最初の素材です。ecovio® M2351で作られたマルチフィルムの使用は、多くの国で有機農作物栽培においても認められています。

ecovio® M2351で作られた認証済の土壌生分解性マルチフィルムは、2012年に市場に導入されてから6年以上、生産者に使用されています。「ecovio®で作られたマルチフィルムの使用に関して、多くの国の生産者をサポートしています」とBASFの農業向けバイオポリマー マーケティング部門のディルク・シュテルケは述べています。「国連食糧農業機関によると、2050年に90億人に増加すると予想される世界の人口を養うには、世界の農業生産を70%成長させる必要があります。生分解性マルチフィルムは、非分解性フィルムのように土壌を汚染することなく、この課題に貢献できます。」

フィルムメーカーにとってもメリット

ecovio® M2351は、薄膜フィルムのインフレーション成形用のコンパウンド材料です。従来のPE用のインフレーション成形機でも加工が可能であり、強度・耐引裂き性に優れた機械的特性を有するため、様々な膜厚で製造することができます。

詳細についてはwww.ecovio.basf.com(英語)、www.biopolymers.basf.com(英語)をご覧ください。

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

 

BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業部について

BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業本部は、材料のノウハウを一つに融合し、革新的でカスタマイズされたプラスチック関連製品とサービスを提供します。本事業部はトランスポーテーション、建築・建設、インダストリアルアプリケーション、消費財という4つの主要産業部門で世界的に事業を展開しており、強力な製品・サービスポートフォリオを備え、アプリケーション志向のシステムソリューションを深く理解しています。収益性と成長を促進させている主な要素は、お客様との緊密な連携と、明確なソリューション重視の姿勢です。研究開発の点でも高い能力を有しており、それが革新的な製品やアプリケーションを開発する基盤となっています。2018年、パフォーマンスマテリアルズ事業本部は、世界で76.5億ユーロの売上高を達成しました。詳細に関しては、 www.performance-materials.basf.com をご覧ください。

 

BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の3つを同時に果たしています。また、全世界で約122,000人の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント (ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2018年のBASFの売上高は約630億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、www.basf.comをご覧ください。

Last Update 2019年9月4日