Business & Financial News  |  2020年6月17日

BASF、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に効果のある有効成分の探索を支援

この資料は BASF本社(ドイツ)が 2020610日に発表した英語のプレスリリースをBASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです

  • 数百万件に及ぶ化合物質ライブラリーの中から特定した物質データを研究グループに無償で提供
  • スーパーコンピューター「Quriosity」が、公的研究プロジェクト向けに有望な分子を同定し最適化

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は、「Helping Hands」キャンペーンと題して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策支援活動を実施しています。その活動は、手指消毒液やマスクの寄付にとどまりません。BASFは、コロナウイルス感染者の治療に適した有効成分を探索する学術研究グループを世界中で支援しています。

「私たちは医薬品有効成分の開発は行っていませんが、BASFは化学物質の研究において150年以上の経験があります。私たちは知識と、多種多様な有効成分を有する大規模な物質ライブラリーを持ち合わせているのです」と、BASFのバイオサイエンスリサーチ本部プレジデントのDr.ペーター・エッケスは述べています。BASFは分子設計用に独自のコンピュータープログラムを開発し、「Quriosity」という名のスーパーコンピューターを自社で有しています。「こうした巨大な研究力を活用することでも、私たちはコロナウイルス対策に貢献することができます」とエッケスは述べています。この取り組みにおいて、BASFは複数のアプローチを展開しています。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する適切な有効成分を迅速に同定するため、世界中の学術機関が、他のウイルス性疾患で既に使用されている承認済の薬の有効性を細胞培養で試験しています。しかし、これらの化合物は十分に有効ではない可能性があり、活性成分の改良された誘導体を探索する必要があります。そこでBASF研究者は類似化合物を見つけるために、数百万個の分子に及ぶ自社の物質ライブラリーのコンピューター支援検索を実施し、150の有望な候補を特定しました。BASFはこれらの分子を、特許請求を行わずに、学術研究グループが無料で利用できるようにしています。バイオサイエンスリサーチ本部のリサーチフェローであるDr.マティアス・ヴィッチェルは、 「私たちには長年にわたり、マラリアなどの感染症治療薬の学術研究を支援してきた実績があり、これまで培ってきた人脈やプロセスをいち早く活かすことができました」 と述べています。

スーパーコンピューター「Quriosity」が適切な分子をモデル化

BASFが展開しているもう一つのアプローチは、計算化学ユニットの化学者たちが開始したものです。彼らは、自分たちが持つ知識を有効成分の探索に役立てるにはどうすればよいかを検討していたところ、スタートアップのPostEra社の COVID-19 Moonshot(ムーンショット)プロジェクトのことを知りました。このプロジェクトでは、ウイルスの必須酵素である、いわゆるウイルスの主要プロテアーゼを阻害する物質を発見するために、世界中の科学者が協力しています。阻害剤は、人体においてウイルスが複製するのを防止するものです。BASFの研究者もこの共同研究に参加し、社内で開発されたコンピュータープログラムとスーパーコンピューター 「Quriosity」 の助けを借りて、多くの新しい分子を設計しました。最終的に、シミュレーションで主要なプロテアーゼの活性部位に最も適合する分子を20個発見しました。彼らは、さらなる研究のために、これらの分子の提案を無償で同プロジェクトに提供しました。

「しかし、コンピューターでシミュレートした分子は、実際に合成できるのかどうか、どれほどうまく合成できるのかは、必ずしもわかりません」 とBASFのデジタルバイオサイエンスリサーチ本部 計算化学の責任者であるProf. クラウス-ユルゲン・シュライファーは述べています。そのため、BASFの研究者はこの側面に焦点を当てた第三のアプローチを進めています。彼らはスーパーコンピューターを活用して、COVID-19  Moonshotプロジェクトに参画している委託製造会社の一社が原理的に合成できるすべての化合物をテストしました。「ここでは、SARS-CoV-2主要プロテアーゼを阻害する可能性が計算された約12億個もの化合物について話し合っています」 とシュライファーは述べています。利点としては、可能性のあるすべての分子は迅速に合成でき、実験でテストすることができるという点です。BASFは、これらの結果をCOVID-19 Moonshotプロジェクトを通して公開する予定です。

「私たちがもつ化学の専門知識を活かして、有効成分の研究を支援し、学術研究チームに実際の分子と仮想分子の両方を提供できることを大変嬉しく思っています。抗コロナ剤の開発に役立つかもしれません」 とエッケスは述べています。

学術研究グループによる有効成分探索の支援は、BASFの「Helping Hands」キャンペーンの一環です。BASFは総額約1億ユーロ以上を投じて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策支援活動を行っています。

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の 3 つを同時に果たしています。また、全世界で117,000 人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2019 年の BASF の売上高は590 億ユーロでした。BASF 株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASF の詳しい情報は、http://www.basf.com をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
Last Update 2020年6月17日