Business & Financial News  |  2023年5月25日

BASF、農業の変革を加速させる統合型ソリューションでイノベーション パイプラインを強化

この資料はBASF本社(ドイツ)が2023年3月15日に発表した英語のプレスリリースをBASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。
 
  • 化学、バイオテクノロジー、データインサイトの活用で雑草管理の選択肢を拡大
  • 雑草、害虫、病害の防除を実現する新しい作用機作の有効成分、革新的な製剤、バイオテクノロジーの形質
  • 業界をリードする形質パイプラインを持つ種子会社としての地位を強化

 

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)は、農薬、種子・形質、デジタルソリューションの農業イノベーションパイプラインに関して、最新の進捗状況を発表しました。BASFは、生産者が地域や作物システム特有の害虫問題、気候面の課題、規制要件の変化、消費者の期待の高まりに対応できるようにするためのソリューションを提供しています。BASFは2019年に発表した農業における戦略を実行し、米州の大豆、欧州の果樹と野菜、アジア太平洋の稲など、地域の主要作物の生産成果を向上させるため、様々なイノベーションに注力しています。このイノベーションパイプラインの価値は依然として高く、今後10年以内に発売される製品によるピーク時の売上高は75億ユーロを上回ると見込まれています。

BASFアグロソリューション事業本部のプレジデントであるリヴィオ・テデスキは、次のように述べています。「私たちの目標は、これまで以上に統合型の農業ソリューションプロバイダーとなり、生産者の方々に提供できる選択肢を広げていくことです。だからこそ、私たちは農業技術の幅広いパイプラインに大幅な投資を継続して行っており、2022年には9億4,400万ユーロを研究開発に費やしました。生産者の皆さんが、経済的にも環境的にも生産からより多くの価値を得られるように、私たちは新しい有効成分、革新的な製剤、形質を生み出し、提供していきます。」

BASFアグロソリューション事業本部の研究開発・規制担当プレジデントであるピーター・エッケスは、次のように述べています。「当社のパイプラインでは、化学と環境科学の深い専門知識を活用するだけでなく、次世代のソリューションに向けて、それを最先端のバイオテクノロジーやデジタル化のアプローチと組み合わせています。業界をリードするBASFの雑草防除のパイプラインは、当社の多角的なアプローチによって、生産者、社会、環境のニーズをバランスよく満たすソリューションを生み出す最たる例となります。」

 

米州・欧州の生産者向け雑草管理ソリューションが大幅に進化

BASFは北米および中南米で、大豆などの主要作物において、除草剤として新しい作用機作を持つ有効成分を、革新的な形質や精密農業技術と組み合わせるなど、雑草管理ソリューションを進化させています。こうしたソリューションは、耕起を最小限に抑え、農薬を効率的に使用するなど、気候変動に対応し、環境に配慮した農法を促進します。

  • 新たなL-グルホシネートアンモニウムL-GA)製剤が、必要な有効成分の量を大幅に減らし、運用コストを削減するとともに、現在のソリューションよりもサステナブルな散布・使用を可能にします。この新しいL-GA製剤は、米国を皮切りに、2020年代半ばから生産者の皆さんに提供していく予定です。
  • Tirexor®(ティレクサー)は、新しいPPO阻害型除草剤(プロトポルフィリノーゲンIXオキシダーゼ)で、現在他のPPO阻害剤に耐性を持つ雑草を防除します。使用回数を少なく抑えることができる速効性の除草剤であることにより、2020年にオーストラリアで、2022年にカナダで承認された後、顧客の強い支持を受けています。大豆生産者に向けた市場投入は、アルゼンチンでは2024年、米国では2025年を予定しています。今後、他の中南米諸国やアジア太平洋地域でも導入し、さまざまな作物に展開していく予定です。
  • BASFは、大豆の雑草を茎葉散布で抑制するソリューションを提供するため、対応する除草剤耐性遺伝子を持つPPO除草剤を新たに開発しています。この遺伝子は、コルテバ社(本社:米国 インディアナ州)が開発する新しい除草剤耐性形質に組み込まれる予定です。これは、2030年代前半に多様な種子への利用が期待される、多世代大豆形質パイプラインコラボレーションの主要要素となります。PPO除草剤を発芽前だけでなく、茎葉散布で使用できるようになり、生産者の雑草防除における柔軟性が高まるというメリットがあります。
  • BASFでは耐性管理をさらにサポートできるように、 まったく新しい作用機作の除草剤の開発に取り組んでおり、現在、後期研究段階にあります。それに対応する大豆の除草剤耐性形質は、コルテバとの提携の一環として、BASFが開発を進めています。生産者は、BASFとコルテバの先進的な大豆種子を通じて、革新的な形質技術を利用することができるようになります。両社の長期的なアプローチにより、2040年代に向けて、大豆生産者に競争力のある選択肢を提供していきます。

また、BASFは欧州の生産者向けに、比類ない雑草管理ソリューションを発表しています。

  • Bosch BASFスマートファーミング社(本社:ドイツ 以下、「BBSF」)によるスマート
    スプレーソリューション
    が、欧州でトウモロコシ、ヒマワリ、甜菜、大豆向けに商業化されました。このテクノロジーは、除草剤の効率的な使用をサポートするもので、ドイツに本社を置く農業機械メーカーDammann社(ダマン)との提携により、ドイツとハンガリーで先行して生産者に提供します。BBSFは、2023/24年シーズン中に米州および欧州での商業化を目指し、さらなるパートナーシップやフィールドテストを進めています。
  • 2022年に有効成分Luximo®(ルキシモ®)が承認されたことで、英国の小麦生産者にとって雑草管理における画期的な進歩がもたらされました。Luximo®は、新しい作用機作によって、最も困難かつ収量へのダメージの大きい雑草の一つであるブラックグラスとイタリアンライグラスを防除します。欧州では、2020年代半ばにLuximo®の登録が拡大される予定です。Luximo®は、圃場における農薬の効率的な使用に不可欠となる、耐性を持つ雑草に対応する新たなツールを地域の生産者に提供します。

 

欧州で果物や野菜を栽培する生産者向けのイノベーション

BASFは欧州において、育種と化学およびデジタルにおけるイノベーションを通じて、果物や野菜の品質と風味を向上させて、フードロスを削減することを目指しています。

  • BASFは、最新の殺虫剤有効成分Axalion™(アクサリオン®)の発売を予定しています。これは新しい作用機作を持つ新たな化学分類に属し、幅広い吸汁性害虫から収穫物を守ります。Axalion™は、有益昆虫や花粉媒介昆虫と調和的に働き、既存の薬剤に耐性を持つ害虫を防除します。2023年にアジア太平洋地域で発売を開始し、その後、欧州、中南米で追加登録を行っていく予定です。
  • Revysol®(レビゾール®)は穀類、大豆、トウモロコシで市場トップクラスの防除効果を示してきましたが、BASFは2023年、果樹や野菜、稲にもこれを投入する予定です。Revyona®(レビヨナ)製剤は、Revysol®の優れた性能と良好な規制プロファイルを備えており、確実な収量と品質を保証します。この製剤は、果樹、ブドウ、ジャガイモのうどんこ病や黒星病など、多くの病害を高いレベルで防除します。
  • BASFの野菜種子事業部門は卓越した育種技術により、涙の出ないタマネギ品種であるSunions®(サニオンズ)を開発しました。これは2022年以降、フランス、ドイツ、イタリア、英国のスーパーマーケットで販売しています。
  • 攻撃的で防除が困難なウイルスに耐性を持つBASFの野菜種子品種を、欧州の複数の国の生産者にご利用いただけるようになりました。例えば、Tomato Brown Rugose Fruit Virus(ToBRFV)やTomato Spotted Wilt Virus(TSWV)などに感染すると、作物の損失や品質への影響によりフードロスを引き起こしますが、これらに耐性を持つ品種が登場しています。

o   スペイン、オランダ、トルコ、モロッコ、カナダ、メキシコなどの様々な国で、ToBRFVへの耐性を持つ新規商業品種が幅広く利用できるようになっています。

o   2021年から2022年にかけて欧州で発売を開始した加工用トマトのTayson品種は、TSWVに対する二重の耐性を備えています。この品種は市場で最も完全な形質パッケージではありますが、それをさらに補完する形となりました。

  • 2022年、BASFは、イタリアのデジタルファーミング企業であるHorta社(ホルタ)の買収による意思決定支援システムの統合により、果樹や野菜のデジタル農学的アドバイスの質を向上させました。そして新たに、ワイン生産者が殺菌剤の使用についてスマートな判断を下せるようにするアプリケーションである「Agrigenius Vite」を提供し、環境への影響を抑えながら収量と品質を最大化させます。

アジア太平洋地域の稲作の成果を向上させる幅広いソリューション

アジアの主要作物である稲を栽培する生産者は、耐性を持つ雑草や病気、害虫によるプレッシャーにさらされています。BASFは、幅広い技術のポートフォリオを通じてこれらの課題を克服できるように、生産者を積極的に支援しています。2020年代半ばまでに、稲作の成果を向上させることを目的とした複数の新しい化学物質や製剤が登場する予定です。

  • BASFは、業界パートナーと共同で、ウンカ防除に向けた新しい作用機作の殺虫剤を開発中です。これは市場の標準的な製品に対して交差耐性がなく、良好な規制プロファイルを有し、長期間の残効性を発揮します。BASFは、2020年代半ばまでにアジア太平洋地域の生産者に届けられるように開発を加速させています。
  • BASFの新しい除草剤Luximo®は、属する化学クラスの中で約40年ぶりの新しい作用機作を有しています。他の作用機作に耐性を持つ稲の問題雑草を幅広く防除できるため、稲の雑草管理および作物保護プログラムにおいて重要なツールとなり
    ます。Luximo®は2024年にインドネシアで販売を開始し、2020年代半ばにはアジアの他の国々でも発売する予定です。
  • Kixor®(キクソール) CSは、Kixor®の新しい除草剤製剤で、発芽前から発芽後まで使用できるため、生産者にはシーズンを通してより柔軟な形で使用いただけます。除草剤の革新的なカプセル化により、作物の安全性を高めるとともに、広葉雑草を長期にわたる残効性で防除する物理的バリアを実現します。アジア太平洋地域の生産者には、2020年代半ばに稲作で使用していただける予定です。
  • 紋枯病や穂に汚れを引き起こす主要な水稲の病害を防除するRevysol®ベースの製品を、2年以内に発売予定です。これらの新しい製剤は、Cevya®(セビヤ)、Mibelya®(ミベルヤ)、Revyrize®(レビライズ)などの製品名で、アジア太平洋地域の稲生産者に提供される予定です。
  • Seltima®(セルティマ) Plusは、耐性管理を組み込んだ稲用の病害管理ソリュー
    ションで、今後数年以内にアジア太平洋地域に導入される予定です。2種類の殺菌剤を組み合わせることで、市場標準を上回る収量と種子品質の向上を実現します。2022年にインドネシアで登録が認められ、インド、中国や他の国でも登録が予定されています。
  • 直播栽培用のProvisia®(プロビジア)稲生産システムとClearfield®(クリアフィールド)稲生産システムは、生産者が限られた耕地を継続的に有効活用することを実現し、水田栽培の代替手段となります。これらの収量を確保することを可能にする技術は、2020年代後半にインド、マレーシア、タイ、フィリピンで導入される予定です。さらに、Provisia®は2025年までに中国の稲作市場にも投入を予定しています。導入段階として、BASFはSeedworks Philippines社(シードワークス フィリピン、本社:フィリピン)と長期的なパートナーシップを結び、BASFのProvisia®除草剤耐性非GM形質をフィリピンのハイブリッド稲市場に導入することを発表しました。今回の提携はアジア5カ国における10の種子関連のパートナーシップの一つであり、イネにおける除草剤耐性形質Clearfield®とProvisia®の投入を予定しています。
  • xarvio®FIELD MANAGERザルビオ® フィールドマネージャー)の営農診断の質は継続的に向上しており、日本における持続可能な稲生産の最適化に貢献しています。既に実装済みの殺菌剤および除草剤の自動推奨に加え、殺虫剤の効率的な使用をサポートするため、BASFはこのプラットフォームに新しい害虫モデルを組み込むことに取り組んでおり、2025年までの実装を見込んでいます。また、病害モデルも強化され、より正確な殺菌剤使用のタイミング、薬量決定をサポートし、適切な製品選択を推奨します。xarvio®は、継続的に進化する正確なシミュレーションモデルによる予測・推奨を提供し、作物保護の標準ツールとして浸透しています。

 

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

 

■BASFのアグロソリューション事業本部について

環境への影響を減らすと同時に、急速に増加する人口に対して、健康的で手頃な価格の食料を十分に共有するには、農業が不可欠です。提携パートナーや農業の専門家と協力し、持続可能性の基準をあらゆるビジネスでの意思決定に統合することで、生産者が持続可能な農業にプラスの影響を与えるお手伝いをします。そのために、革新的な思考と現場での実践的な行動とを結びつける強力な研究開発パイプラインに投資しています。当社のポートフォリオは、種子、厳選された苗の形質、化学的および生物学的な作物保護、土壌管理、植物の健康、害虫防除およびデジタル農業のためのソリューションで構成されています。ラボ、フィールド、オフィス、生産の専門家チームと共に、農家、農業、未来の世代の人々のために、成功のための適切なバランスを見つけたいと考えています。2022年の売上高は103億ユーロでした。アグロソリューション事業部についての詳細はwww.agriculture.basf.com/jp または各種ソーシャルメディアをご参照ください。

 

■BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の3つを同時に果たしています。また、全世界で110,000人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2022年のBASFの売上高は873億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、https://www.basf.com をご覧ください。

 

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BASF innovation pipeline in agricultural includes advancements in pipeline of crop protection, seeds and traits, and digital solutions, including an industry-leading weed-control pipeline.
BASFは農薬、種子・形質、デジタルソリューションを含むイノベーションパイプラインを強化
Last Update 2023年5月25日