Trade News  |  2024年1月30日

BASFとInditex、繊維廃棄物のみを原料とする初の循環型ナイロン6、loopamidでテキスタイルからテキスタイルへのリサイクルにおいて飛躍的な革新を実現

 

この資料は、BASFおよびInditexが2024年1月23日にドイツで発表した英語のプレスリリースを、BASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。

  •  loopamidの技術によって、ポリアミド6の繊維廃棄物を新しいバージン品質の合成繊維・材料にリサイクルすることが可能に
  • Zaraはloopamidのみを素材としたカプセル・ジャケットを新発売
  • 多数の大手製造会社と協力し、衣料品から出る繊維廃棄物のみを使用したパーツ素材を
    ジャケットのあらゆる部分に活用

BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)とInditex社(インディテックス、本社:スペイン アルテイショ)は1月23日、テキスタイル産業におけるリサイクル性向上のための画期的な取り組みを発表しました。BASFは、100%繊維廃棄物から作られるポリアミド6(別名ナイロン6、以下「PA6」)loopamid(ループアミド)*によって、繊維廃棄物のみから作られるナイロンアパレル向けに、初の循環型ソリューションを提供します。Zara(ザラ)は、loopamidを100%使用したジャケットを、同日、全世界で発売開始しました。「リサイクルのためのデザイン」というアプローチのもと、生地、ボタン、詰め物、ホック、ループ、ジッパーなど、あらゆるパーツがloopamidの技術により作られています。

BASFは、loopamidの技術によってファッション業界の循環性を向上させて、PA6の繊維廃棄物をリサイクルする、革新的なソリューションを開発しました。最先端技術を利用したloopamidは、PA6やスパンデックスのようなあらゆる混合繊維に対応できるため、製品製造工程及び市場で使用済みとなった繊維廃棄物の、テキスタイル間リサイクルが実現します。また、繊維と材料は複数回のリサイクルが可能であり、材料特性は従来のバージンポリアミドと同一となります。

BASFモノマー事業本部のプレジデントであるDr.ランクマー・ダルヴァは、次のように述べています。「BASFは、ファッション業界における循環性の実現に向けた重要なマイルストーンに到達しており、ナイロン繊維の循環アプローチの先駆けとなっています。loopamidは、PA6市場をより良いものへと変革する可能性を秘めています。私たちは現在、お客様に商業的数量を提供できるように、テクノロジーのスケールアップを進めているところです。Inditexと作成したカプセル・ジャケットは、循環性の実現を証明するものであり、私たちはテキスタイル産業の持続可能な変革をさらに推し進めたいと考えています。」

Inditexは、衣料品製造業界で複数の大手企業グループと協力し、loopamidを生地、ジッパー、ボタン、詰め物、ホック、面ファスナー、縫い糸など、様々な衣料用パーツにシームレスに取り入れています。慈善組織Caritasが運営する回収プログラムModaReは、廃棄されるテキスタイルを分類、選別し、原料として提供します。イタリアのRadiciGroupは、loopamidポリマーを様々な特性を持つ糸に加工するプロセスに取り組んでいます。ファスナー製品を扱う日本の多国籍企業であるYKK社や、ベルクロを扱うグローバル企業も、loopamidポリマーでジッパーやスナップボタン、ホック、面ファスナーなどのプラスチック部品を製造する上で、重要な役割を果たしています。スペインのUniter社、イタリアのTessitura Vignetta社、ドイツのFreudenberg社およびGütermann社もこのプロジェクトに参加し、loopamidを使用してインナーラベル、詰め物、縫い糸などの衣料用パーツを開発しています。

InditexのチーフサステナビリティオフィサーであるJavier Losada氏は、次のように述べています。 「より責任ある業界へと進んでいくためには、イノベーションの推進がカギとなります。今回の提携は、関係者全員が協力することで、新たなテクノロジーによって繊維廃棄物を資源に転換できることを示す、素晴らしい例となっています。また、このプロジェクトは循環型ソリューションに向けた第一歩でもあります。アパレル業界は循環を促進し、ポストコンシューマー廃棄物のリサイクルを拡大するために、新たな回収・リサイクル能力を強化する必要があります。」

BASFとInditexの協力関係は、両社が意欲的なサステナビリティ目標を掲げていることに基づいています。BASFは2030年までに、サーキュラーエコノミー向けソリューションの売上高を170億ユーロに倍増させることを目指しており、その実現のために、3つの行動領域、すなわちサーキュラー原料、循環型素材、新規ビジネスモデルに重点的に取り組んでいます。Inditexは、2030年までに同社のテキスタイル製品の100%を、環境フットプリントのより小さい素材のみで作ることを目指しています。その取り組みの一環としてInditexは、まだ商業生産規模では存在しない次世代素材を使用した織物繊維を25%、従来のリサイクル材料を40%、有機繊維と再生繊維を25%使用することを計画しています。

PA6は、一般にナイロン6として知られる合成ポリマーの一種であり、優れた機械的特性および多様な特性によって、様々な用途で幅広く使用されています。BASFは、PA6およびその前駆体の主要メーカーの一社であり、欧州、アジア、北米に製造拠点を有しています。

* loopamidについて詳しくはこちらをご覧ください。 http://www.loopamid.com/ (英語)

 

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

 

■BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の3つを同時に果たしています。また、全世界で110,000人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2022年のBASFの売上高は873億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、https://www.basf.com をご覧ください。

 

■Inditexについて

Inditexは、Zara、Pull&Bear、Massimo Dutti、Bershka、Stradivarius、Oysho、Zara Homeなどのブランドを擁する世界最大級のファッション小売企業であり、オンラインプラットフォームと実店舗を通じて200以上の市場で事業を展開しています。その統合型ビジネスモデルは、質の高いファッションの提案とユニークな顧客体験を通じて、顧客の需要に応えることに重点を置いています。同グループはサステナビリティに全力で取り組んでおり、2040年までにネットゼロ排出を達成するという意欲的な目標を掲げています。

P-24-109

BASF has developed loopamid, a 100% textile-to-textile recycled polyamide 6. Inditex has turned the material into a capsule jacket.
BASF、繊維廃棄物のみから作られるリサイクル・ポリアミド6、loopamidを開発。Inditexはこの素材をカプセルジャケットに採用。
Last Update 2024年1月30日