Business & Financial News  |  2020年9月29日

BASF、「ChemCycling」プロジェクトの一環としてPyrum社に投資: 廃タイヤ由来の熱分解油を、混合プラスチック廃棄物由来の油に次ぐ原料に

この資料は、BASFとPyrum社が2020年9月21日にドイツで発表した英語のプレスリリースをBASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。
 
  • 投資により熱分解油の生産能力増強を支援
  • プラスチック廃棄物のサーキュラー・エコノミー(循環型経済)の構築における大きな節目
  • 熱分解油を化石資源の一部代替として、要求の高いプラスチック用途に使用
 

BASF SE(本社: ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン、以下「BASF」)は、廃タイヤの熱分解を専門とするテクノロジー企業、Pyrum Innovations AG社(本社:ドイツ ディリンゲン/ザール、以下「Pyrum」)に1,600万ユーロを投資します。この投資により、Pyrumがディリンゲンに持つ熱分解工場の拡張およびその技術のさらなる発展を支援します。

Pyrumは現在、廃タイヤの熱分解工場を稼働させており、年間1万トンのタイヤの処理能力を有しています。2022年末までに、2つの生産ラインが既存の工場に加わる予定です。BASFは、「ChemCyclingTM」プロジェクトの一環として、その熱分解油の大半を入手し、マスバランス方式を用いて新しい化学品の製造に使用します。再生原料由来で、高品質かつ機能性の高いプラスチックを求めるプラスチック業界のお客様が主な対象となります。

Pyrumは、パートナーとともに、タイヤの熱分解工場のさらなる建設を予定しており、協力体制の構築により、Pyrumが持つ優れた技術の活用に拍車がかかります。また、今後、この技術に投資する投資家たちにとっては、生産された熱分解油が高性能化学品の生産に向けてBASFに採用されるということが明確になります。つまり、こうした協業は、プラスチック廃棄物の循環に貢献します。廃タイヤは、ドイツ、欧州及び国際標準化機構の規格であるDIN EN ISO 14021:2016-07が定義する、使用済みプラスチック廃棄物に該当します。

BASFとPyrumは、廃タイヤ由来の熱分解油の生産能力を、新たなパートナーとともに、今後数年以内に、年間最大10万トンに増強できると見込んでいます。 

「BASFはプラスチック産業のサーキュラー・エコノミー(循環型経済)への移行を主導することにコミットしています。化学品バリューチェーンの川上で化石由来の原料をリサイクル原料に置き換えることは、この取り組みにおいて重要な施策です」と、BASFの石油化学品事業本部プレジデント、ハートヴィッヒ・ミシェルズは述べています。「私たちは、熱分解油の幅広い供給基盤を確立し、ケミカルリサイクルされたプラスチック廃棄物を原料とした製品を、お客様に提供していくことを目指しています。今回の投資により、また大きく前進することができました。」

Pyrumの設立者でCEOのパスカル・クラインは次のように述べています。「12年にも及ぶ取り組みの結果、遂に市場に受け入れられ、誇りに思います。BASFの投資により、タイヤリサイクル市場におけるリーダーの一員となれると確信しています。タイヤのリサイクルおよび熱分解油の生産能力を高め、当社の技術をさらに高性能なものにしていくことに力を注いでいきます。」

BASFはChemCyclingTMプロジェクトにおいて、長期的には混合プラスチック廃棄物由来の油に注力していますが、それに次ぐ原料として、廃タイヤ由来の熱分解油を使用していきます。

マスバランス方式を用いて熱分解油から製造された製品は、一次化石資源で製造された製品と全く同じ特性を持っています。さらに、従来品と比べてカーボンフットプリントが軽減されます。これは、コンサルティング会社Sphera社がBASFに代わり実施したライフサイクルアセスメント(LCA)分析の結果です。LCA分析では、自動車産業用の高性能部品の生産などで使用されるプラスチック、ポリアミド6(PA 6)が特にこの傾向を示しています。マスバランス方式のもと、Pyrumの廃タイヤ由来の熱分解油を用いて生産された1トンのPA 6は、  化石原料で生産されたPA 6と比較して、CO2排出量が1.3トン削減されています。排出量が少ないのは、廃タイヤの焼却を回避できるためです。

ChemCyclingTMプロジェクトについては、こちらをご覧ください。

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

 

■BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の 3 つを同時に果たしています。また、全世界で117,000 人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2019 年のBASF の売上高は590 億ユーロでした。BASF 株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASF の詳しい情報は、http://www.basf.com をご覧ください。

■Pyrumについて

Pyrum Innovations AGは、これまで試みられたことのない方法やシステムを試すことで、未来のリサイクルを創造しています。私たちの目標は、努力を重ね、第三者が不可能だと考えることに挑戦することです。ここ数年で、Pyrumは20人から50人近くにまで成長し、現在、ヨーロッパで最も近代的なタイヤ熱分解工場の一つを運営し、ドイツのディリンゲンで一日当たり2,500から3,000本のタイヤをリサイクルしています。工場のさらなる建設も予定しています。詳しい情報は、www.pyrum.netをご覧ください。

 

ドイツ ディリンゲン/ザールにあるPyrum社のタイヤ熱分解工場にて。Pyrum Innovations AGの設立者でCEOのパスカル・クライン(左) とBASFのプロジェクトリーダーDr.クリスチャン・ラッハ(右) 。
ドイツ ディリンゲン/ザールにあるPyrum社のタイヤ熱分解工場にて。Pyrum Innovations AGの設立者でCEOのパスカル・クライン(左) とBASFのプロジェクトリーダーDr.クリスチャン・ラッハ(右) 。
Last Update 2020年9月29日