高効率で耐久性が高く安全:最新燃料電池技術にUltramid® Advanced が採用
この資料は BASF本社(ドイツ)が 2020年10月15日に発表した英語のプレスリリースをBASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。
- Nuvera Fuel Cells社が、BASFのポリフタルアミド(PPA)を新たな45kW燃料電池
エンジンの複数部品に採用 - Ultramid® Advanced N3HG6は高い熱耐性、薬品耐性を示し、優れた機械特性と安定した長期性能を有するポリフタルアミド
BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)のポリフタルアミド(以下、PPA)、Ultramid® Advanced N3HG6が、このほど、高馬力なゼロエミッションエンジンを製造するNuvera Fuel Cells(本社:米国マサチューセッツ州ビレリカ、ヌベラ・フュエル・セルズ、以下Nuvera)の最新世代の45kW燃料電池エンジンの複数部品の素材として採用されました。この燃料電池エンジンは、今後3年をかけて中国の路線バスや配達用車両に導入される予定です。マニホールドやサーモスタット用筐体、逆止め弁、エジェクター、エキゾーストパイプなどの部品には、様々な温度帯での安定した材料特性が必要です。Ultramid® Advanced N3HG6は高い熱耐性、薬品耐性を示し、優れた機械特性を有するだけでなく衝撃強度や寸法安定性が高く、長期性能も安定しています。部品のなかには冷却水や空気、水素の流れにより様々な媒剤にさらされるものもありますが、ポリアミド9T(PA9T)をベースとしたPPA化合物は優れた薬品耐性を示すとともに、反応の起こりやすい燃料電池や電気部品での用途における純度要件も満たします。
NuveraのE-45燃料電池エンジン(45kW燃料電池エンジン)の課題は、アルミダイカスト材を使った様々な部品や高温ホースを高性能プラスチックに置き換え、性能と安全性を維持しつつ燃料電池エンジンを大量生産部品として、生産規模を拡大させるための軽量化ソリューションを見つけることでした。この課題に対し、Ultramid® Advanced N3HG6はエンジン部品の安全性と高い品質を実現します。優れた剛性と強度、高い強靭性、優れた摩耗挙動を示します。冷却剤での用途に関しては広範な試験を行い、エチレングリコール、水、水素の混合液において、105℃で10,000~20,000時間の継続使用に耐えることが証明されました。BASFのPPAは、非常に低い燃料・気体透過や低揮発性を実現するため、エンジンシステムの腐食やファウリングを防ぎます。
Nuveraのマーケティングおよび政府業務担当ディレクターであるガス・ブロック氏は、次のように述べています。「規制面での要件の拡大に対処しつつ、市場シェアを維持するため、車両メーカーは所有、操作、メンテナンスが容易でありつつ、必要なパワーを提供することが可能な、ゼロエミッションの車を提供する必要があります。燃料電池は、多くの商用車両、産業車両においてこうした需要を満たすための最善の答えです。BASFのPPA、用途に関するノウハウ、顧客に合わせた技術サービスのおかげで、私たちは金属ソリューションよりも低い単価を実現すると同時に、予定通りに市場投入できました。私たちは、初期段階からマニホールドカバーなどの重要部品の設計支援を提供してくれたBASFの迅速さと支援の効果に感銘を受けています。」NuveraのE-45燃料電池エンジンは、バスやトラック、配達用バン、さらには産業用トラック、その他オフロード車両などの中型、大型車両のエンジンとして使用できます。
BASFのPPA担当ビジネス開発マネージャーのジム・ピートは次のように述べています。「特に、通常のプラスチックより、条件付きの連続使用温度が高くなりました。当社のプラスチック自動車部品に関する専門知識と、Ultrasim®を活用したCAEサポート、幅広いポリフタルアミド製品群で、私たちは様々な燃料電池部品に適切な材料を提供することができました。このアプローチにより、最適なパフォーマンスで、未来のNuveraの主要技術の1つとなる挑戦的な新用途の開発および性能の最適化をサポートができました。」
BASFは、独自のシミュレーションツールUltrasim®を使ったデザイン最適化サービスも提供しました。例えばマニホールドの場合は、充填・ゆがみ解析を実施しました。
パラメータを最初に最適化した後、漏れの発生はなく、そのためマニホールドの開発が大幅に速まりました。充填解析の際には、BASFとNuveraが溶接線やシーリング、構造強化などの具体的な点に関して議論を重ねました。
Ultramid® Advancedについて
BASFのポリフタルアミド製品群は、Ultramid® Advanced N (PA9T)、Ultramid® Advanced T 1000 (PA6T/6I) 、Ultramid® Advanced T 2000 (PA6T/66) 、および長年の実績を持つUltramid® TKR (PA6T/6) によって構成されています。自動車産業や電気電子産業、機械工学、消費財など多様な分野において、軽量で高性能な次世代プラスチック部品の可能性を広げます。PPAの製品群は世界各国で販売されており、BASFのUltrasim®シミュレーションツールとアプリケーション開発における豊富な経験に基づき、射出成形や押出成形用に50以上の配合グレードがあります。難燃剤の有無や、様々な熱安定剤、無着色からレーザーマーキング可能な黒色といった色味や、短繊維ガラス、長繊維ガラスまたは炭素繊維強化材などから選択可能です。
詳細については、www.ultramid-advanced-n.basf.com または www.ppa.basf.comをご覧ください。
※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。
■BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業本部について
BASFのパフォーマンスマテリアルズ事業本部は、材料のノウハウを一つに融合し、革新的でカスタマイズされたプラスチック関連製品とサービスを提供します。本事業部はトランスポーテーション、建築・建設、インダストリアルアプリケーション、消費財という4つの主要産業部門で世界的に事業を展開しており、強力な製品・サービスポートフォリオを備え、アプリケーション志向のシステムソリューションを深く理解しています。収益性と成長を促進させている主な要素は、お客様との緊密な連携と、明確なソリューション重視の姿勢です。研究開発の点でも高い能力を有しており、それが革新的な製品やアプリケーションを開発する基盤となっています。2019年、パフォーマンスマテリアルズ事業本部は、世界で60.6億ユーロの売上高を達成しました。詳細に関しては、www.plastics.basf.comをご覧ください。
■BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の3つを同時に果たしています。また、全世界で117,000 人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2019年のBASFの売上高は590億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、http://www.basf.comをご覧ください。
■Nuvera Fuel Cellsについて
Nuvera Fuel Cells, LLCは、産業車両向けのゼロエミッションエンジンメーカーです。米国、ヨーロッパ、中国の生産拠点をベースに、産業車両をはじめ輸送市場の厳しいニーズを満たすクリーンかつ安全で効率の高い製品を提供しています。NuveraはHyster-Yale Group, Inc.の子会社で、主にHyster®およびYale®ブランドの下、豊富な車種を取りそろえたフォークリフトの設計、エンジニアリング、製造、販売、サービスとアフターサービス部品の供給を世界レベルで行っています。Hyster-Yale Groupは、Hyster-Yale Materials Handling, Inc. (NYSE:HY)の完全子会社です。Hyster-Yale Materials Handling, Inc.とその子会社は、オハイオ州クリーブランドの本社を拠点に、世界で約7,900人の従業員を擁しています。水素を利用したゼロエミッションモビリティに取り組むNuvera Fuel Cellsの詳細は、www.nuvera.com をご覧ください。
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