BASF、産業規模でのガス精製技術開発から50年
この資料は BASF本社(ドイツ)が 2021年10月28日に発表した英語のプレスリリースをBASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。
- OASE®ブランドで10年 包括的なポートフォリオ
- 革新的 「OASE® digilab」 ほぼリアルタイムでサンプル分析
- バリューチェーンにおけるサステナビリティへの重要な貢献
BASF(本社:ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン)は、二酸化炭素(CO2)の分離回収設備(商用初号機)を設置したアンモニア工場の立ち上げから、今年で50年を迎えました。1971年、ドイツ本社では肥料製造の重要な出発原料であるアンモニアを製造するため、合成ガスからCO2を分離回収する新しいガス精製技術を開発、産業規模でのガス精製に革命をもたらしました。今日、BASFはガス精製の世界的な企業として、天然ガス、合成ガス、バイオガスなどのさまざまなガス精製のための効果的なソリューションを多様な業界のお客様に提供しています。ハーバー・ボッシュ法の発明以来、ガス精製における長い伝統がある当社の技術は、世界中の 500 を超える設備で採用実績があり、世界的に実証されています。
BASFは、10年前から卓越したガス精製技術 「OASE®(オーエイスTM)」のブランド名で、さまざまな技術やガス吸収液、包括的サービスの一式を提供しています。OASE®はBASFポートフォリオの中でサステナビリティに大きく貢献する 「アクセラレーター」の1つです。OASE®は、従来の技術に比べてガス精製の効率が非常に高く、資源の保全、さらには省エネルギーによるCO2排出量削減に大きく貢献します。天然ガスや合成ガスを使用するには、ガスから特定の成分を安全に除去する必要があるため、ガス精製が不可欠です。
BASFは1971年以降、ガス精製の分野で一貫して革新と成長を追求してきました。
また、天然ガス、合成ガス、製油所の排ガス、燃焼排ガス、バイオガス向けの技術も開発しました。直近10年間では、さらなる技術が追加されました。2019年、BASFは革新的なデジタルプラットフォーム「OASE® connect」を構築しました。この活用により、お客様はシミュレーションツールを使用してプラントの運転を最適化したり、サンプル分析の結果を保存したり、eラーニング教材を使用してガス精製技術についての詳細を学ぶことができます。2020年には、エクソンモービル社(本社:アメリカ)と共同開発したエネルギー効率の高いガス精製技術である「OASE® sulfexx™」を発表しました。これは、製油所やガス精製業者がCO2排出量を削減しながら、硫黄回収の目標を達成できるようにするものです。
OASE® digilabによる、ほぼリアルタイムでのサンプル分析
今年発表予定の「OASE® digilab」により、BASFはデジタル化のさらなる一歩を踏み出し、ガス精製の効率をさらに向上させます。OASE®チームは、BASFグループのスタートアップ企業であるtrinamiX社(トライナミクス、本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)と共同で、OASE®プロセス中のガス吸収液の状態をほぼリアルタイムで分析する方法を開発しました。これまでは、お客様のプロセスから採取したサンプルをBASFの2ヵ所の専用試験所、ルートヴィッヒスハーフェン(ドイツ)又はワイアンドット(アメリカ)へ送り、分析する必要があったため時間と労力を要していました。
OASE® digilabは、trinamiXの近赤外(NIR)分光ソリューションを活用します。モバイル型NIR分光器とデータ分析技術(ケモメトリクス)を組み合わせることで、サンプル組成の定性・定量的な分析判定を可能にします。将来的には、お客様が工場で採取したサンプルを直接OASE® digilabの装置に注入し、わずか数秒で試験結果を得られるようになります。
BASFのグローバルテクノロジー ガス精製ソリューション部門を率いる Dr. Torsten Katz(トルステン・カッツ)は、次のように述べています。「OASE® digilabは、ガス精製の品質管理に革命を起こします。このサービスを利用することで、お客様はガス精製の条件を継続的にモニターし、最適な吸収液で工場を稼働できるようになります。」
成長を促す未来のテクノロジー
ガス探査が進むにつれ、ガス精製も発展していきました。近年、FLNG(浮体式天然ガス液化設備)分野のプロジェクトが世界中で数多く開発され、世界中の海底で多くのガス田が誕生しています。遠洋で、しかも通常はかなりの深層から天然ガスを抽出するという、技術的に非常に厳しいプロセスのため、ガス精製には強い適応力が求められます。
そのためBASFは、このような状況下での技術のさらなる開発、特に海洋や船舶の動きに対応できる技術の最適化に多大な努力を重ねてきました。最初の成功はマレーシアの石油・ガス会社であるペトロナス社の最新FLNGプロジェクトで、新しいOASE®ガス精製技術が採用されました。これはBASFにとって、世界初となるFLNGでの実績です。
BASFは、従来のLNGの分野でも数々の成功を収めています。2021年初め、カタールガス社(本社:カタール、ドーハ)はカタール半島北東部沖のノースフィールド イースト (North Field East: NFE)プロジェクトにおいて、新たな4基のLNG生産プラントの建設に関する発注内示書を発行しました。このガス田は、世界のガス埋蔵量の約10%を占め、その埋蔵量は約25兆立方メートルと言われています。このガス田の開発は、現在世界最大のLNGプロジェクトです。カタールガス社は、新設のガス液化プラントの4基すべてにBASFのOASE®技術を採用しました。
効率的で信頼性が高く、柔軟性を持つプロセス
ガスに含まれるCO2や硫化水素(H2S)などの酸性ガスを除去するために、供給ガスを吸収塔に投入し完全に再生されたOASE®のガス吸収液と向流接触させます。ここで、酸性ガスは吸収液と反応してガスから分離されます。酸性ガスを豊富に含んだ吸収液は再生塔に送られ、加熱され酸性ガスが吸収液から分離されます。その後、再生された吸収液は冷却され、吸収塔に戻され再循環されます。多くの場合、分離回収されたCO2は非常に純度が高いため、化学合成の用途にも使用できます。
BASFのガス精製プロセスは、省エネルギーで、非常に高い可用性を実現し、大量に高純度のガスを提供します。また、その柔軟性により、特定のガス成分を選択的に分離回収することも可能です。使用されるOASE®のガス吸収液は、安定性が高く、耐用年数が長いことが特徴で、補充量も最小限に抑えることが可能です。
BASFとガス精製についての詳細につきましては、www.basf.com/oase(英語)およびBASFのガス精製技術50周年記念サイトwww.basf.com/jp/ja/products/product-list/intermediates/gas-treatment.html(日本語)をご覧ください。
※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。
■BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の 3 つを同時に果たしています。また、全世界で110,000 人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。ポートフォリオは、6つの事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、サーフェステクノロジー、ニュートリション&ケア、アグロソリューション)から成ります。2020 年の BASF の売上高は590 億ユーロでした。BASF 株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は、http://www.basf.com をご覧ください。
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