シェメタル、世界初のクロムフリー・フッ素フリーの銅箔用パッシベーションソリューションGardolene® Dを市場に投入
この資料はBASF本社(ドイツ)が2025年10月9日に発表した英語のプレスリリースをBASFコーティングス ジャパン合同会社が日本語に翻訳・編集したものです。
- 電気自動車やエネルギーシステムの性能向上を通じ、グリーントランスフォーメーションを推進する先駆的なイノベーション
- 新しいGardolene® Dパッシベーションソリューションは、優れた耐食性を提供し、バッテリー性能を大幅に向上
BASF(本社:ドイツ ルートヴィッヒスハーフェン)のコーティングス事業本部のグローバル表面処理事業部門であり、革新的な表面処理ソリューションのリーディングプロバイダーであるシェメタル(Chemetall)は、銅箔用として世界初となるクロムフリーおよびフッ素フリーのパッシベーション技術であるGardolene® Dを発表しました。この先駆的なソリューションは業界唯一のものであり、電気自動車のバッテリーパックやエネルギー生成・ストレージシステムに使用される銅箔に、優れた耐食性と性能向上をもたらします。新しいGardolene® D技術は、サステナビリティと性能の新たなベンチマークを打ち立てるとともに、バッテリー製造市場における銅箔処理の長期的な規制遵守も可能にします。
近年、世界中で電気自動車(NEV)、コンシューマーエレクトロニクス(3C)、エネルギーストレージシステム(ESS)における高性能バッテリーの需要が高まっており、この傾向は今後も続くと予想されます。世界的なグリーントランスフォーメーションを成功させるための重要な要素は、電動モビリティやエネルギーストレージシステムにおけるバッテリー性能です。
シェメタルの新しいGardolene® D 銅箔用パッシベーションソリューションは、バッテリー性能を高め、より持続可能です。また、カーボンフットプリントの開示 、デジタルバッテリーパスポート、および有害物質の厳格な制限を義務付ける欧州連合の新しいバッテリー規則 (EU 2023/1542) に完全に準拠しています。2027 年以降、これらの基準を満たすバッテリーのみが欧州市場で認められます。これにより、グリーン製造やクロムフリーの前処理技術の必要性が高まっています。
Gardolene® Dは、最終製品において優れたバッテリー性能を実現します。Gardolene® D銅箔用の主な特徴は、表面エネルギーの向上により、アノード活性材料の密着性が高まり、電気抵抗が低減されることで、バッテリー効率が向上する点です。集中的な分析と試験により、Gardolene® Dで処理されたバッテリーは寿命の延長と容量保持率の向上の恩恵を受け、摂氏25度の1,000サイクル試験において寿命が最大6%延長されることが証明されています。これは、従来のクロム (VI) パッシベーション方法で処理された銅箔を使用したバッテリーと比較して、性能が大幅に向上しています。
サステナビリティの観点から最も重要なのは、シェメタルの新しいGardolene® D製品であるGardolene® D 6701やGardolene® D 6702などが、世界初のクロムフリー・フッ素フリーの銅箔用パッシベーションソリューションであることです。これらは、他の製品では実現できない形で、バッテリーバリューチェーン全体の環境負荷を大幅に低減します。新しいソリューションは既存設備と互換性があり、電気自動車用のバッテリーの製造やその他の幅広いエネルギー生成およびストレージ用途に使用される電着塗装および圧延焼鈍銅箔基板の両方に適しています。この革新的な技術は、既存のソリューションと比較して優れた耐熱性・耐食性を実現します。
シェメタルのシニアバイスプレジデントであるフランク・ナーバーは次のように述べています。「電気自動車の台数が継続的に増加し、エネルギー生成およびストレージシステムにおける新しいコンセプトの市場が拡大するグリーントランスフォーメーションには、新しく革新的な表面処理ソリューションが不可欠です。シェメタルでは、お客様の課題解決と、専門知識でビジネス支援に全力で取り組んでいます。新しいGardolene® D銅箔用パッシベーションソリューションは、バッテリー性能の向上、サステナビリティの強化、将来にわたる顧客プロセスの最適化を実現し、銅箔パッシベーションの新時代を切り開きます。これは、当社の「expect more」という理念を体現するものであり、金属加工業界の顧客に付加価値をもたらす革新的なソリューションの好例です。」
シェメタルのグローバルテクノロジー責任者であるアーヤン・テルマテンは次のように述べています。「新しいGardolene® D銅箔用のパッシベーションソリューションは、市場にとって先駆的なイノベーションです。世界各地の専任の研究・技術チームが、利用可能なソリューションと市場のニーズを徹底的に分析してきました。表面処理に関する包括的な専門知識とお客様との緊密な連携のもと、私たちは限界を押し広げ、銅箔前処理のための唯一無二のグローバルソリューションを開発することができました。これにより、銅箔の安定した特性や電極の導電性の向上を実現し、標準的なパッシベーションプロセスと比較して、強化される規制やサステナビリティの要件を満たすメーカーをサポートします。」
世界で初めて銅箔のクロムフリー・フッ素フリーのパッシベーション技術を提供する表面処理ソリューションプロバイダーとして、シェメタルはイノベーション、サステナビリティ、顧客の成功へのコミットメントを改めて表明します。Gardolene® D銅箔処理用ソリューションは、現在、全世界で提供を開始しており、バッテリーメーカーは既存の設備に追加投資なしに、この次世代技術を通じて、プロセスと最終製品を向上することが可能です。
※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。
■BASFのコーティングス事業本部について
BASFのコーティングス事業本部は、メタル、プラスチック、ガラス基板など幅広い産業における革新的な製品の開発、生産、販売を行っています。これらのポートフォリオは、新しい市場や事業開発を目指すInnovation Beyond Paint(塗料を超えたイノベーション)プログラムによって提供してまいります。私たちは、先進的なパフォーマンス・ソリューションを創造し、世界中のパートナーのニーズを満たすために、パフォーマンス、デザイン、新しいアプリケーションを推進しています。BASFは、ヨーロッパ、北米、南米、アジア太平洋地域の拠点のネットワークを活用することで、お客様の利益のために、専門的でグローバルなチームのスキル、知識、リソースを提供しています。2024年におけるBASFコーティングス事業本部の世界の売上高は約38億ユーロでした。
私たちは情熱と専門性を原動力に、これまでのコーティングスビジネスを超えて、真の新しい価値を創出します。詳細は www.basf-coatings.com(英語)およびLinkedInをご覧ください。
■BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く総合化学会社です。私たちは、持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、経済的な成功とともに環境保護と社会的責任を追求しています。また、お客様のグリーントランスフォーメーションを可能にする、選ばれる化学会社になるという意欲的な目標を掲げています。全世界で約112,000人の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献しています。ポートフォリオは、コア事業の事業セグメント(ケミカル、マテリアル、インダストリアル・ソリューション、ニュートリション&ケア)、スタンドアローン事業の事業セグメント(サーフェステクノロジー、アグロソリューション)から成ります。2024年のBASFの売上高は653億ユーロでした。BASF株式はフランクフルト証券取引所(BAS)に上場しているほか、米国預託証券(BASFY)として取引されています。BASFの詳しい情報は https://www.basf.com/global/en.html をご覧ください。