2018年7月17日

BASF、3Dプリント材料メーカー2社を買収

(この資料は BASF本社(ドイツ)が 2018年7月4日に発表した英語のプレスリリースをBASFジャパンが日本語に翻訳・編集したものです。)

  • Advanc3D Materials社は、粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)用の高性能プラスチック粉末およびフォーミュレーションを販売
  • Setup Performance社は、レーザー焼結用の革新的な製品を開発、製造
  • SLS材料の研究、開発、販売はBASF傘下のBASF 3D Printing Solutionsが継続

BASF New Business GmbH(BNB: BASFニュービジネス社)はこの度、ドイツ ハンブルグのAdvanc3D Materials GmbH社、およびフランス リヨンのSetup Performance SAS社の全株式を取得しました。Advanc3D Materialsは、粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)用の高度なテーラーメイドのプラスチック粉末とフォーミュレーションを、プロセスノウハウと共に提供する企業です。一方Setup Performanceは、リヨンに生産拠点を有し、Advanc3D MaterialsのSLS材料の開発と製造における最も重要なパートナーです。株式取得に伴い、BNBはこの2社をBNBの子会社であるBASF 3D Printing Solutions GmbH (B3DPS)に統合します。今回の買収は、BASFの3Dプリント分野の事業拡張における重要な一歩です。

BNBの製造および技術担当バイスプレジデントのDr. ディートマー・ベンダーは次のように述べています。「BNBは昨年、フィラメントメーカーのInnofil3D社を買収し、積層造形に用いるプラスチックフィラメントの分野における市場プレゼンスが強化してきました。今回は、粉末床溶融結合 (Powder bed fusion)の分野における当社の市場アクセスを拡大します。今回の買収により当社のポートフォリオが補完され、ポリアミド11やポリアミド12、ポリプロピレンなどの製品に非常に適したものとなります。」 B3DPSは4月に、粉末焼結積層造形法用の新たなPA6(ポリアミド6)材料を発表しており、これは、現在市場で一般的に使用されているほとんどのSLSのプリンターで、容易に印刷・造形できる材料です。

また、Advanc3D Materialsは市場において定評のある企業で、幅広い製品のほか、市場や用途に関する総合的な知識を提供しています。3Dプリント向けの材料に必要な要素には、均一な大きさに細かく挽かれた粉末、添加するUV安定剤、優れたフリーフロー性などがあります。Setup Performanceは、Advanc3Dの委託製造を担うとともに、開発パートナーでもあります。Setup Performanceの製品&プロセス開発およびリヨンの生産拠点は、高効率と新製品の開発サイクルが短いことで知られています。

Advanc3Dのマネージングディレクターであるフランソワ・ミネック氏は、次のように述べています。「BASFの一員となれることを楽しみにしています。これにより、世界中のお客様が3D印刷を用いて工業的に生産するための新たなフォーミュレーションの幅が広がり、開発をさらに進められるようになります。」

また、ディートマー・ベンダーは、次のように述べています。「今回取得するノウハウ、インフラストラクチャー、高度な材料によって、当社の製品構成が完全に補完されます」。 B3DPSのポートフォリオの拡充によって、特に自動車産業、消費財産業の既存のお客様、および新規のお客様にメリットがもたらされます。「私たちは、産業用3Dプリント向けの粉末ベースの材料およびフォーミュレーションの主要サプライヤーになることを目指しており、今回の買収は重要な一歩です。」

重要性が高まる3Dプリント

3Dプリントプロセスによる積層造形(ALM: Additive Layer Manufacturing)を利用した個別加工のプラスチック部品の製造は、業界でますます重要性が高まっています。粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)は、製造方法の一つです。3次元の構造設計を用い、レーザーがポリアミドなどの粉末の中に物体の形を描いていきます。レーザーに照射された材料が溶解し、必要とされる3Dの物体が層ごとに作られていきます。これまで複雑なプラスチック部品の多くは、射出成形で製造する必要がありました。一方、3Dプリントでは、成形の金型が不必要なので小量の生産でも低コストであることと、より迅速に製造できることなどが大きな利点として挙げられます。部品メーカーは、お客様の要望にこれまで以上に迅速に対応できるようになり、個々のお客様の要件を容易に満たすことができるようになります。

 

※このプレスリリースの内容および解釈については英語のオリジナルが優先されます。

 

BASF New Businessについて

BASF New Business GmbH (BNB) は、産業界、社会、将来の市場における長期トレンドや革新的なテーマの発見や成長性の分析を通じて、BASFに適した新規事業分野の見極めを行う、BASF100%の子会社です。主にBASF の既存事業以外の分野で新たなビジネス機会が見込まれる、輸送、建築・建設、消費財、ヘルス & ニュートリション、エレクトロニクス、 農業、および資源・エネルギーなどの顧客分野に注力した取り組みを行っています。BASF New Businessは、最も将来性の高いトピックをBASFの新規事業分野として取り上げ、化学を基盤とした画期的な材料、技術、およびシステムソリューションに注力するとともに、新製品の開発を通じて技術の進歩を推進します。技術・市場の評価においては世界中の研究プラットフォームやBASF事業部と密接に連携するほか、研究機関、大学、ベンチャー企業、および業界パートナーとの協働した取り組みも行っています。なお、戦略的に関連性の高い技術分野に携わるベンチャー企業への直接投資は、BASF New Businessの子会社である BASF Venture Capitalが行っています。詳細につきましては、www.basf-new-business.comをご覧ください。

BASFについて

BASF(ビーエーエスエフ)は、ドイツ ルートヴィッヒスハーフェンに本社を置く、世界をリードする化学会社です。持続可能な将来のために化学でいい関係をつくることを企業目的とし、環境保護と社会的責任の追及、経済的な成功の3つを同時に果たしています。また、全世界で115,000人以上の社員を有し、世界中のほぼすべての産業に関わるお客様に貢献できるよう努めています。製品ポートフォリオは化学品、高性能製品、機能性材料、農業関連製品、石油・ガスの5つの事業部門から成ります。2017年のBASFの売上高は約645億ユーロでした。BASFは、フランクフルト(BAS)、ロンドン(BFA)およびチューリッヒ(BAS)の証券取引所に上場しています。BASFの詳しい情報は、www.basf.comをご覧ください。

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Last Update 2018年7月17日